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朝霧飛鳥をオトす。
期限は3週間。その時点で見込みがなければ、それ以上粘っても無駄だろう。期間が延びれば、それだけ利子がかさむ。それならば最初から期間を決めて、ダメそうならさっさと切り上げるのが賢明だ。
理香ちゃんから聞いた、朝霧飛鳥の情報をもとに外見を変える。
彼の好みは、茶髪ショートのおしとやかで優しい女の子…らしい。
ここで喜ぶべきは、彼の好みに“可愛い”とか“綺麗”とかの容姿的な要素がないことだろう。いや、そんなのは前提として当たり前のことなのだろうか。それだと困る。彼が美形キラーじゃないことを祈るばかりである。
長かった黒髪を近所のなじみの床屋で肩のあたりまででバッサリと切ってもらい、薬局に売っていた安い染め粉で茶髪に染める。これまた近所のなじみの古着屋さんで清楚な感じの服を何着か購入し、ネットでナチュラルメイクなるもののやり方を見ながら、100均の化粧品で顔に化粧を施す。
「で、できたぁ~」
鏡の中にはいつもの中の中の私とは違い、中の上の下の女が映っている。
………、びみょー…。
でもこれ以上は私だけじゃ無理だし…。これでいっか。
えーと、後はおしとやかで優しい女の子…っと
……おしとやかってどんな?
どちらかというと私はガサツな方だし、おしとやかというものがよく分からない。なんかお嬢様とか百合の花とかのイメージ…。とりあえず、言葉遣いをなるべく丁寧にして、常ににこにこしてればいいかな。うん、これでいこう。
よし、準備は整った。
いざ、王子に突撃!!
…とは言ったものの、出会いの場がない。
この前みたいに夜中に公園にいたら会えるかな。でもこの間はたまたま居合わせただけだろうし…。しょうがない…、この手はあまり使いたくなかったけれどあの子に頼るしかない!
「あ、あの~、り、理香ちゃん…」
「え!?先輩!?どうしたんですかその髪!今どきの女子みたいですよぉ!?」
「え、あ、うん…。ありがとう…?」
いままでそんなにひどい髪型だったのだろうか…。
「あの、お願いが…、」
「あ!先輩!ちょうどよかったぁ!!お願いがあるんですけど!」
「お、おぅふ…」
先を越された。
「今夜空いてますかぁ!?」
「こ、こんや?なにかあるの?」
今日の夜もバイトだけれど…。
「合コンです!やりましたぁ!わたしやってやりましたよぉ!!王子との合コンです!!」
「!?」
「友達が一人熱出しちゃって、女子が一人足りなくて困ってたんですよぉ。いつもの先輩はちょっと野暮ったすぎてあまり連れて行きたくなかったんですけどぉ、今日の先輩はいつもよりマシなのでちょうどよかったですぅ!」
褒められているのか貶されているのか…。多分後者だけど。
でもこれは絶好の好機。理香ちゃんたまには役に立つじゃん!
今日はバイトは休みの連絡を入れておこう。店長ごめんなさい!
「で、いきますかぁ?いきませんかぁ?」
「い、いく!行く!」
「ほんとですかぁ!やったぁ。でもなんだか先輩、いつになく必死ですね!」
「え、そ、そんなことない、けど、」
「そうですかぁ?ま、いいですけど。じゃああとで待ち合わせ場所と時間メールしますねぇ」
「う、うん!わかった!」
あ、あぶないあぶない。理香ちゃんも王子狙いっぽいし、バレたら合コン連れて行ってもらえなくなりそう。気を付けよう…。
とりあえずシフト終わったら速攻で家に帰って化粧やって服選んで…。やっぱ第一印象って大事だもんね。気合い入れないと。
そういえば私、合コンって初めてだ。合コン必勝法もググっとこう。
読んでくださってありがとうございます。
なかなか話が進まなくて焦っております…。
次話では久々に王子でてくるんで!