2円 こだわりのグルメ
先ずは基本アイテム、ここではベースと言おう。
ベースにエビせん、ミルク煎餅、ラスク、通常の醤油煎餅などがある。
エビ煎餅は値段のわりにデカイのが特徴。しかも、単体でかなりウマイ。
だが、これに何かをのせてたべる。
真っ二つに折ってサンドするのもあり。
ミルク煎餅と違ってデカイため二枚重ねはかなり無謀だ。
このベースに梅ジャムなどを塗るのもありだが、ここはあえて太郎シリーズの蒲焼きさん、焼き肉さん、わさび風味、酢だこさんなどをサンドするのもありだ。
そしてデザートにラスク。こいつにヨーグルを塗って食べるか、オレンジジャム。はたまた、意表を突いて梅ジャムを塗るのも中々、美味い!
(ヨーグルは小さなヨーグルトの風味の20円の菓子)
勉強になったか?
では、オリジナル煎餅を作って俺を唸らせてみるんだ!ユウキ!
タカ君は力強くそう言った。
ユウキは駄菓子の並ぶ棚を見回した。
「エビ煎のチョイスは変わらない。けど、僕のはこれさ!」
エビせんの上にソースを塗って、ラメック(10円のべビスターのようなお菓子。もんじゃ焼きに使うとgood!)を散らします。
それから、串いかをバラバラにして散らす。その上からマヨネーズ、仕上げに青さ(青のり)をかけたら!
贅沢お好み焼き煎餅だ!
タカ君はバリバリと音をたてて、食べ始めた。
ユウキが鼻を膨らませて感想を求めた。
「ユウキ。アイデアはいい。味も格別だ!しかし!コストが高すきだ!俺達のこずかいで、まかなえる範囲をはるかに超えている!」
「な、なんて事だ!」
ユウキは愕然とした。
「いいか、ユウキ!ソースや、マヨネーズは家に行かないと使えないアイテム。少ないお金でいかに、お腹を満たすかにある。いつも同じ菓子ばかりに飽きた時、いつも簡単に出来なきゃ意味がないんだよ!」
「そうか…。僕が間違っていたよ。」
タカが来てから二週間が過ぎた。
タカ&ユウキはすっかり仲良くなり、こうして楽しみである駄菓子屋で連日過ごしていた。
二人の一番好きな時間なのだ。
なにより、タカと会ってからユウキはイジメられなくなった。
「なあ、ユウキ。」
「なに?」
タカが少し息をひそめたように言った。
「贅沢は出来んと言ったが、これから贅の極みを教えるよ。」
「これはなるべくなら禁じておきたかった。なにせ、ベースが60円から70円という高額なため、失敗はゆるされない。」
そう言ってタカが棚からカップうどんを取った。
先ずはこれに湯を入れる。
タカがパッケージを破き蓋を剥がすと、店のおばちゃんのいるカウンターにのせた。
おばちゃんはニッコリして湯をポットから注いでくれた。
「なんだよ。ただのいつものうどんじゃないか!」
「まあ、待て!ここからが本番だ!」
少し待った後、タカはうどんのカップの蓋をベリベリと剥がすと何やら駄菓子をポケットから取り出した!
「3分待たずに2分半であけてしまう。そして!コイツを投入するんだ!」
なんと取り出したのはイカの姿フライ!
これはイカの形をした天ぷらのような煎餅状の菓子である。
「柔らかくなり過ぎず、硬すぎず、少しさっくり感のある時間配分がこのくらいなのさ!」
そして3分を向かえた!
「さあ、ユウキ!食べてみろ!」
「では遠慮なく。いただきます!」
ズルズル…。ハフハフ…。
「う、美味い!これは美味いよ!」
ユウキは満面の笑みで応えた。
タカは得意顔で言う。
「コイツにはまだバリエーションがあるんだ。例えば焼きそばに散らす。揚げ玉とイカの二役をこなすので中々の物だ。」
「辛い姿フライでちょっと大人の焼きそばとか…。」ユウキがポツリと言うとタカはウンウンと頷いた。
こうして午後の時間は過ぎて行き、五時を告げるチャイムが町内になり響いた。