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麗(うらら)

作者: 片桐乃亞

 私が鞄の中にあった折り畳み傘を見つけたのは、春の日差しが注ぐ昼休みのことだった。

 

花散らしの雨がやってくるとテレビが告げていたのは昨日のこと。今日はすっかり晴れて、風雨を凌いだ桜の花が青空に映えている。

 しかし残った花たちも、心地良いほどの風ですぐに木を離れ、しばらく舞った後に歩道の隅に落ちた。花びらは風で寄り集まり、うねるように何処かへと進んでいく。

 

 一体何処へ行くのだろう。


この花びらたちの行く先など、気にもしなかった。毎年ただ綺麗だと眺め、散ってしまえば寂しいと思う。ただそれだけだった。


花びらが次々と水たまりに足を止める。その景色は、散ってもなお街を彩ろうとしているかのようにも見えた。


春は、あと少しだろうか。

夏は、まだ来ない。


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