表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掌編小説集  作者: オリンポス
人見知り
9/32

通学電車

 いつもの通学電車。

 ぼくはニ人席で、綺麗な女性と向かい合って座っていた。

 ああ、かわいいな。

 こんな人と相席するなんて、ぼくはなんて果報者なんだ。

 ドキドキと胸を高鳴らせながら、しかし視線が合うと気まずいので景色を眺めて目的地に着くのを待った。

 外では雨がやんでいた。

 ニ、三駅を通りすぎるとその女性は眠ったようだった。

 そうっと正面を向いてみる。

 彼女はまちがいなく眠っていた。

 やった。窓をみてると首が痛くて大変だったんだ。

 ぼくは顔を正面にやったが、またしても問題が発生してしまった。

 へんに視線を戻すと、吊革に捕まっている女子高生と目があってしまうのだ。

 人間万事塞翁が馬。好事魔多し。といったところか。

 ぼくは終始、横を向いたままで居続けた。

 電車は終点にさしかかった。乗客がどんどん降りていくなか、正面の女性は眠ったまま起きる気配がない。

 これは起こすべきか、それとも起こさぬべきか。

 ぼくの脳内は、起こすor 起こさないで議論が白熱していた。

 起こそうか、起こすべきだよな。

 でもなんて声をかけたら良いんだ?

 うわー、やっぱり無理。

 恥ずかしい。

 けど、どうしよう。

 一人であれこれ戸惑っていると、女性は都合よく目覚めてくれたようだった。

 ぼくのことをいぶかしげに見つめてから、下車してしまった。

「…………」

 傘わすれてますよって、言うべきか。言わぬべきか。どうすれば良いんだ?

 ぼくは彼女の忘れ物に気づいたせいで、またもやモヤモヤすることになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ