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掌編小説集  作者: オリンポス
人見知り
8/32

レストラン

「むうぅ~、お腹すいたなあ……」

 久しぶりに取れたこの休暇。

 今日は仕事のことなど忘れて、パーっとエンジョイしちゃおう。

 そう考えていたのだが……。

 あいにく朝ごはんを食べ忘れてしまった。

 最悪だ。

 これから食べなければならないのだから。

 しかも家ではなくて大衆食堂で。

「うわ~、なんか嫌だな~」

 おそるおそる外食店を探していると、嬉しいことにサイゼリヤが近くにあった。

「よっし、とりあえず飢えはしのげるぞ」

 にぎわってはいるものの、並ばずに入店できた。

 店員に案内されている間、ぼくは終始うつむいたままだった。

 二人席を勧められたので、そこに腰かけた。一人で二席も占領したことになるので、ものすごく気まずかった。

 とりあえずメニュー表を眺めてみる。

 ぼくはリーズナブルな値段の、ミラノ風ドリアを食べたかったが、周りから貧乏だと誤解されたくなかったので、リブステーキのスープセットを注文した。

 すると店員からドリンクバーはどうするかと尋ねられた。

 飲みたかった。

 のどがかわいていたし、水だと味気ない。

 だがこの混雑具合でそれを注文したら、ほかのお客さんに迷惑なのではなかろうか。

 さっさと立ち去れと思われているかもしれない。

 ぼくはありがたい提案をやわらかく断った。

 さて、どうしよう。

 食事が運ばれてくるまで、どうしよう。

 ここは水もセルフサービスになっている。だから水を汲んでくれば良いと思うのだが、ドリンクバーの機械に人だかりができていた。

 冷水機はそのすぐそば。

 ダメだ、恥ずかしくて行けない。

 ぼくは震える脚をみて、断行を中止した。ここは待つべきかもしれない。

 料理が運ばれてくるまでは、メニュー表とにらめっこをして過ごした。

 まずはスープが運ばれてきた。

 美味しそうだ。

 皿を傾けて飲み干したいが、下品だと思われるかもしれない。

 仕方なくスプーンを使ってちびちびとすすった。

 そんな醜態を、ライスとステーキを持ってきた店員に目撃されてしまった。

「うわ~、あいつ貧乏性だって思われた」

 店員の去り際を見送って、ぼくは呟いた。

 ステーキにナイフを入れていると、箸がないことに気がついた。

 なるほど、イタリアンレストランだから準備していないのだな。

 仕方ない。フォークで食べるか。

 周囲が気になったので、ぼくは早めに完食した。

 そのせいかまだ空腹だった。

 よし、条件は整った。

 ミラノ風ドリアを食べよう。

 ぼくはコールボタンを押そうとしたが、結局はおせなかった。ここで押したら、忙しそうにしている店員になんと思われるかわからない。

ちなみにぼくは、牛丼チェーン店でサラリーマンの方と相席したことがありますが、とくに気まずさなどは感じませんでした。

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