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時計
ギリギリで、投稿に間に合った!
「ヤバい、寝過ごしたっ!」
ぼくは遅刻のギリギリで、目を覚ました。
時計を確認すると、出社完了時刻の10分前だった。
「これはマズイぞ……」
ぼくは急いでスーツに腕を通し、腕時計のストップウォッチ機能を作動させた。
すると、あら不思議。
掛け時計の秒針が止まってしまったのだ。
いや、それだけではない。
報道番組のニュースキャスターさえ、動かぬままになった。
「よし、時間は止めたぞ」
あとは……。
あとはひたすら徒歩。
時間を止めている間は、交通機関も使えない。
疲れるが、遅刻するよりはマシだ。
怪しまれないように、会社の玄関口で止めた時間を元に戻し、担当の部署へと向かった。
「間に合った」はずだった。
が、ホワイトボードに赤で書かれた文字が、ぼくの頭を強く揺さぶった。
『担当者会議があるため、10分早めに朝礼を行う』
「間に合わなかった」
ぼくはがっくりと膝をつき、2度と寝坊はしないと心に誓った。
「寝る前に時間を止めれば、いくらでも寝れたでしょ」とか言わないでください(笑)。




