コーヒー
明日も張り切って投稿しますよ。
「お前と年を越せるのも、あとどれくらいかのぉ……」
コタツでぬくぬくとお茶をすすりながら、おばあちゃんは言った。
人数以上に用意されたオードブルや、年越しそばが、賑々しく食卓を飾っている。
それを見守るように遺影が笑っていた。去年よりも、その人数は多い。
「縁起でもないことを言わないでよ」
ぼくは作り笑いを浮かべ、視線を落とす。
おばあちゃんの、枝のような細腕には。
点滴チューブが繋がっていて、見るからに弱々しかった。
本当に今この瞬間、彼女の命がついえても。
なにも不思議ではない。
絶対に笑ってはいけないというバラエティー番組からは、盛大な笑いが起こっていた。
「コーヒー飲むか? お前はコーヒー好きじゃったろ?」
おばあちゃんはそう、勝手に張り切って。
杖をついて立ち上がる。
「無理しなくていいよ。自分でやるから」
ちなみにコーヒーが好きなのは、ぼくではない。
遺影の中で横ピースをしている、おばあちゃんの伴侶だ。
「若いうちは遠慮なぞすんな。
それに来客をもてなすのが、日本古来の風土じゃろ?」
ニカッと入れ歯を見せて、微笑み。
おばあちゃんは台所に向かった。
どこか遠くで。
インスタントコーヒーの瓶の割れる音が聞こえた。
近日中に親戚のおばあちゃんが亡くなったのは事実です。
なんか悲しくなってすみません。




