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掌編小説集  作者: オリンポス
贅沢品
29/32

コーヒー

明日も張り切って投稿しますよ。

「お前と年を越せるのも、あとどれくらいかのぉ……」

 コタツでぬくぬくとお茶をすすりながら、おばあちゃんは言った。

 

 人数以上に用意されたオードブルや、年越しそばが、賑々しく食卓を飾っている。


 それを見守るように遺影が笑っていた。去年よりも、その人数は多い。

 

「縁起でもないことを言わないでよ」

 ぼくは作り笑いを浮かべ、視線を落とす。

 

 おばあちゃんの、枝のような細腕には。

 点滴チューブが繋がっていて、見るからに弱々しかった。

 本当に今この瞬間、彼女の命がついえても。

 なにも不思議ではない。

 

 絶対に笑ってはいけないというバラエティー番組からは、盛大な笑いが起こっていた。

 

「コーヒー飲むか? お前はコーヒー好きじゃったろ?」

 おばあちゃんはそう、勝手に張り切って。

 杖をついて立ち上がる。

 

「無理しなくていいよ。自分でやるから」

 ちなみにコーヒーが好きなのは、ぼくではない。

 遺影の中で横ピースをしている、おばあちゃんの伴侶だ。


「若いうちは遠慮なぞすんな。

 それに来客をもてなすのが、日本古来の風土じゃろ?」


 ニカッと入れ歯を見せて、微笑み。

 おばあちゃんは台所に向かった。


 どこか遠くで。

 インスタントコーヒーの瓶の割れる音が聞こえた。

近日中に親戚のおばあちゃんが亡くなったのは事実です。


なんか悲しくなってすみません。

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