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寿司屋
「まじかよ……」
俺は半ば絶望的な気分で、友人に告げた。
「俺はてっきり回転寿司だと思ってたから、それ相応の額しか用意してねーよ」
「大丈夫だって」
俺の不安そうな顔を見て、励ますように友人は太鼓判を押した。
「安い握りもあるから」
「そういうことなら良いけど」
のれんをくぐって、入店する。
「板さん、いつものお願い」
友人はそう言って、俺にカウンター席をすすめた。
「へい、お待ちっ!」
板さんが握ってくれたのは、ただの白米。
「刺身を持参すれば、安く食えるよ」
友人はどや顔で、カバンから刺身を取り出した。
そんなことをするんだったら、スーパーでお寿司セットを買えば良いだろ。
俺は腹の底から突っ込んだ。
回らない寿司屋。
それだけで、なぜか高級感があります(←貧乏性)。




