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タオル
<とことん素材を追求しました。滑らかな肌触りとふかふかのさわり心地。贅沢タオル¥300>
雨に濡れてコンビニにやって来たぼくは、ビニール傘と一緒に贅沢タオルも購入することにした。
タオルは毎日使うものだし、多少値段が高くても問題はないだろう。そう思ったからだ。
ホットコーヒーをレジで注文し、カフェスペースで贅沢タオルの封を破いた。
透明なビニールからは、真っ白でふかふかのタオルが出てきた。
さっそく頭をごしごしと拭いてみた。
贅沢タオルはふとんのようにふかふかで、綿のようにやわらかく、絹のようにしっとりと肌に馴染み、それだけで贅沢な気分が味わえた。
が。
「あれ?このタオル、使えねーじゃん」
ぼくは数瞬後に、そうつぶやいた。
「水を吸いとらねーぞ」
贅沢タオルのビニール包装には以下のような注意書きがしてあった。
<このタオルは贅沢なので、使用者を選ぶことがあります>




