二鷹
「鷹にひっかかれたことはあるか?」
友人はぼくにそう訊いた。どことなく得意そうな表情をしている。
おそらく自慢をしたいのだろう。
ぼくは鷹という動物は写真でしか見たことがなかった。
そのため一種の憧憬を抱いて、
「実物の鷹を見たことあるの?スゲーじゃん」
と羨望の眼差しを向けた。
友人はふっと軽く笑い、やれやれと首を振ってから、さらにすごいことを言ってのけた。
「ひっかかれたときにさ、やつの爪を一枚剥いでやったんだけどさ、見たいか?」
ポケットを探り始める友人。
あまのじゃくなぼくは、「見なくていい」と言った。
「釣れないこと言うなよ」
友人はポケットからなにかを取り出して、ゆっくりと手を開いた。
そこにはたしかに『鷹の爪』があった。
「ぬぅおりゃー!」
ぼくは全力で友人をぶん殴った。
体重を拳にのせて、力いっぱい殴りつけた。
「ぬぅわあー!」
ぼくは飛び起きた。
はあはあと荒い呼吸をしている。布団を投げ飛ばしていた。
ベッドに横たわったまま、ぼくは思考をまとめていく。
初夢だったのに、おバカな内容だった。
「鷹の爪って、唐辛子のことかよ」
支離滅裂ですが、夢なんてこんなものですよね。




