小学生
過去の連載小説と比べると、これは意外と長命かもしれません。
たかがショートショート、されどショートショート。
継続は力なりです。
小学生の私は、両親といっしょにおばあちゃんの家に遊びに来ていた。
おばあちゃんは温厚な性格だが、おじいちゃんを亡くして寂しくしているので、私たちはこうしてたまに顔を出さなければいけないのだ。
「梅雨の時期は寒暖差が激しいから、ぼうかんたいさくはきちんとしなさいよ」
私はおばあちゃんに言われた。
梅雨ってなーにと尋ねると、雨がいっぱい降るお天気だよと教えられた。
私の住む東京ではすでに梅雨は終えていたので、まだ続いている地域があってビックリした。
おかげでおばあちゃんのいる新潟は、いつも雨が降っているイメージしかない。
「ぼうかんたいさくってなーに?」
「寒くない格好をすることだよ」
「うん、わかった」
私はカーディガンを羽織り、濡れ縁に出て、空を見上げた。
雨粒は途切れることなく降り続いている。
雨はお空が泣いているから、降るのかなーと思った。
「あやめちゃーん」
おばあちゃんに呼ばれた。
用件を聞いてみると、近所のスーパーに買い出しに行ってきてほしいとのことだった。
私は買い物袋と、あるものを渡された。
これもぼうかんたいさくで使うものだった。
使い方をひととおり教えてもらって、それから出発することにした。
買い物を終えて帰る途中、若い女性が襲われているのを目撃した。
襲っているのは若い男たちだった。
寒くて襲っているのだろうか。
衣服を見ても薄着だし、傘も持っていない。
どうやらぼうかんたいさくをしていなかったようだ。
「おじさんたち、寒いの?」
「うるせー、あっちへ行け!」
蹴られた。
私はおばあちゃんに言われた通り、買い物袋といっしょにもらっていたスプレー缶を噴霧した。スプレー缶の名前は催涙スプレーというらしい。
若い女性も加勢してくれた。
おじさんたちは、お空のように泣きながら逃げていった。
よくわからないけど、助けてあげた若い女性が言うには、私がした行為もぼうかんたいさくというらしい。
新潟県は年間で、4分の1以下しか晴天日がないらしい。
1日中晴れている日は、80日あるかないかくらい。さすがコメどころ新潟。
コシヒカリは世界一おいしいですが、TPPの関係で需要が減ってきそう。




