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掌編小説集  作者: オリンポス
水に流して!
15/32

木を隠すなら

注:御食事前の方は控えてください。

ギャグとしてですが、用便のシーンのようなものがあります。

「日本の『便所トイレ』はハイテクで~すますく」


 高校で知り合った私の友人で、留学生のルーボ・アカリーナは、デパートのトイレから出てきてそう言った。目をキラキラと輝かせて、なにやら興奮した様子である。


「どうしたのですますく? ルーボ・アカリーナ」


 私も『ですます口調』で応じる。


 否、『ですますく調』で応じる。


「うんこをした後に、アナル目掛けてピューって噴射する液体。あれはすごいで~すますく」


「それはウォシュレットですますく。紙でゴシゴシする手間が省けるですますくよ、ルーボ・アカリーナ」


「その後にブワーって出てくる生暖かい風、あれもすごいで~すますく」


「それは乾燥ボタンですますく。熱風でお尻についた水滴を乾かしてくれるのですますくよ、ルーボ・アカリーナ」


「でも一番驚いたのは、ブリブリ音を隠してくれるボタンで~すますく」


「それは流水音ですますく。排泄音を聞かれたくないという、欧米人にはない、ガラスよりも繊細なハートを持った日本人ならではの、発案ですますく。水を流したような音が数十秒間、流れるのですますくよ、ルーボ・アカリーナ」


「それは違うですますく。あのボタンは、そんなボタンじゃないですますく。試しに使ってみるですますく」


 私はルーボ・アカリーナに言われるがまま、そこの便器に座った。


 流水音のボタンの位置に、『排泄音』というボタンが設置されていた。


 試しに押してみる。


「ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶり」


 …………。


 …………。


 …………。


 沈黙。


 ラジオなら放送事故だ。


「水に流してよ」

「なんで排泄音なのよ!」

「排泄音を隠すために排泄音を使うって、その木を隠すなら森みたいな発想はなんなのよ。全然隠せてないじゃない」


 代わりに。

 私のですますく調が、水に流されてしまったのである。

なんかすいません(笑)。

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