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バチ
神棚の続編です。
300文字小説です。
「そんなことを言ったらバチが当たるぞ」
私は、さきほど神を侮辱した息子を、咎めていた。
「だいたい神は神聖な存在なんだ。呪い殺すなんて野蛮なことはするはずがないだろ」
それに対して息子は冷静に疑問な点を二つ挙げた。
「神聖だったら、ネズミに糞されるわけないじゃん。呪い殺すのが野蛮なんだったら、バチが当たるわけないじゃん。それはどう説明してくれるの?」
「むうう、減らず口を叩きおる」
私は困惑してしまった。
それでも辛うじて、
「呪いとバチはちがう」
反発すると、
「無神論者にバチを与える暇があるんだったら、信仰者にすこしでも恩恵を与えろよ。バカじゃねーの、その神!」
私の目の前には、息子ではなく新たな神が降臨した。
『鰯の頭も信心から』




