10/32
好かれている人
このまま単体でも楽しめますが、
「俺様の企画書を見れるだけ、光栄に思いやがれ」
S氏は商品開発部の同僚にそう言い放った。
「S氏、お前そんなことを言ってて大丈夫なのか?」
同僚は心配そうにS氏を見つめる。
「俺様の企画書が通らなかったことが一度でもあるか?」
「一度も通ってねーだろ」
同僚は再び廊下を歩き出して、「まあ頑張れよ」と片手を振って応援した。
「俺様に乗ったつもりで待っていろ。今度こそ絶対に通るからな」
「俺様じゃなくて、大船だろ」同僚はだれにともなくぼやいた。
なんだかんだでS氏は努力家だ。
同僚はS氏の自信満々な表情に今日も癒されるのであった。
2部構成ですので、1週間後に掲載される「嫌われている人」と合わせて読むと、物語の真意がつかめますよ。




