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一話 転校生

「ナオ?ナオー!」


頭上で俺の名前を呼ぶ声。


いや、無視しよう。眠い。


「…んぐ」


すると、今度は押さえつけられた。

顔面に机との圧力が加わり、かなり痛い。


もがき逃げようとすると、手が離された。


「ぐはっ…何するんだよ!」


ちょい苛立つ。


「悪い悪い、起きないから起こしたまでだ。」


この男言葉を使うボーイッシュガールは佐藤 公助(女性)。我が親友と呼べる人物である。


「早速女難発動かぁ…」


「いやいらこれ、女難じゃないだろ。なんでも体質のせいにするなよな」


体質というのも、生まれつきかなり女難を受けやすい体質なのだ。

一部では「ハーレム体質爆ぜろ」とか言われるがハーレムじゃない。

ハーレムなら俺も嬉しい。


説明すると、女難というのは単に女性とのトラブルというわけではない。


例えば、OL風の女性からキャッチセールスを受ける。

お婆さんに道を聞かれて学校を遅刻。

捨てられていたメス猫を拾うと、翌日から家前に猫の大群。

おまけに何故か男友達が一切いない。

もう呪いレベルである。


「いや。俺の女難舐めたら鉄の味がするよ。」


「なんだよその言い回し。そんなことより、今日転校生が来るらしいな。」


「そーなんだ。どんな人かな。」


「ナオのクラスだから女子なのは間違いないな。」


「おい、何を言う…強くは否定できないが。」


いいところで先生が入ってきた。

何やら緊張している。

転校生の方が緊張しているだろうに…もしや大物なのか?


「えー、今日は噂にもなっているようだが転校生が来ている。」


扉を見つめる生徒。

しかし、扉は動かない。恥ずかしがっているのだろうか?


「あー。その。えっと…外だ、外。」


窓を見る。

…なるほど大物だ。

窓からは顔が見える、そう窓一面に。


大きいな、身長は40…いや50mくらいだろうか。

目は青色でゲルマンぽいが髪の色はロシアン風の銀髪。かなり美人である。

それにしても、よく足音を立てずに窓まで近づいたな。


「お、おい。ナオ…。」


今度は背後から名を呼ばれる。

ふと後ろを向くと、生徒全員逃げるように廊下側に下がっている。


みんな驚いて逃げたようだ。

転校生には悪いが僕も下がることにする。


「…ナオ、お前冷静すぎだろ。」


「そうかな?」


「普通なら、すぐ逃げるだろ。あの大きさだぞ。」


「あぁそれもそうか。僕の女難も最骨頂だな。」


「…お前なぁ」


続いて先生が話す。


「彼女はエリストロ・ルーデルフさんだ。ノワン星から来た王女様だ。地球の偵察のために日本に来たらしいが詳しいことは言えない。ただうちの生徒になるから仲良くするように。ちなみに日本語はある程度なら伝わるからいろいろ教えてやってくれ。じゃあ授業を始める。席につけー。」


そうか、宇宙人。

だから、この大きさなのかってか宇宙人って本当に居たんだな。


冷や汗をかきながらいう先生。

戻る時はすぐ戻れるのに、みんなすぐに逃げたもんだ。


…授業が開始され15分。

なるほど、これなら確かにビビった理由がわかるな。

四六時中ずっと窓からギョロギョロと巨大な視線を感じるのはプレッシャーとの勝負だ。


「それにしても、慣れるのに時間はかからなかったようだな。」


ルーデルフさんはクラスの女子たちと話を楽しんでいる。


そもそもクラスの女子の割合が酷い。

クラスは40人もいるのに男子の数が10人もいないのだ。これも呪いのせいだろうけど。


こっそりルーデルフさんの話を聞いてみる。


「ルーデルフさんって日本に来てどのくらいなの?」


「…まだ一週間。」


「そっか。じゃあどっか行きたいとこある?」


「…秋葉原。」


「アキバ?なんで?」


「…地球。とくに日本のアニメは面白い。」


「そっかぁ、ルーデルフさんってアニメ好きなんだ、意外だね。」


たいした会話ではなさそうだ。

ただ声は全校放送じょうたいだけど。

…ん?


「なあコースケ。なんか俺、ルーデルフさんに見られてないか?」


「ん?…お前じゃないだろ。」


「…そう…だよな。」


…なんかやな予感がする


するとルーデルフさんはだれか問いかけた。


「…ねえ。」


「……。」


「おい、ナオ呼んでるぞ。」


「あれは呼んでない。俺じゃない。」


「…そこの少年。」


「…ナオ、行ったげな。」


「いや、男子高校生なんて多いだろ。」


「10人だけな。」


「…さっき逃げなかった人。」


指を自分に指してみる。


「…僕ですか。」


「…うん、そう。」


「ナオ、いつも言ってるけど一人称は確立させとけ。」


そんなこと言われてる場合ではない。


これは下手すると、過去最大の女難ではないだろうか。


僕は少しずつ2人と窓から距離を取り


教室の扉を手にとった。


ガララッ!


「ナオ!」


「おい!逃がすな!」


「「「おおおおおおお!」」」


なんていいクラスだ。腹が立つ。

しかし、ルーデルフさんを加えた総勢40人…


『緊急放送です。2年3組の…』


多分かなり左に流したが、今総勢1250人ほどになったと思う。


やばいな。


これは、逃げられない。


どこか、誰も見つからないような立ち入りできないような…


そうだ。

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