吾輩は猫のはず、、、ニャンでこうなったああ 短編版
吾輩は猫である!名前はまだにゃ「リリ様ー、どこにいらっしゃるのですかー?」
どうやら人間共にリリという名前をつけられたようだ。朝っぱらからうるさいにゃ。吾輩の極上の眠りを妨げるとは、いい度胸だにゃ。
「またこんな所に。猫さんごっこは良いですが、危ないことしてはいけませんよー?落ちたらどうするんですか?」
にゃんのこれしき!この高さで怖がるにゃんぞ、猫の名がすたるわ!
華麗な着地姿をみせようと木の枝にぶら下がったところで、制しの声が上がる。
「あ、こら!飛び降りないでくださいよ。はしご持ってくるので待っててくださいね!」
吾輩は猫だぞ!にゃぜだめなのだ!人間は怖がりすぎにゃのだ!特にこの家は過保護すぎる!
木の上にはのぼってはいけません。屋根に登ってはいけません。地面に寝転がってはいけません。クローゼットやベッドの下には潜ってはいけません—もう飽き飽きにゃのだ!
吾輩の好きなこと全部禁止にしおって、許さんぞ人間!吾輩は猫らしく自由気ままに生きたいだけなのにゃのだ!
「もう、目を離すとすぐ高いところに登ろうとするんですから。今日は抱っこで移動ですよ」
ふむ、抱っこも悪くにゃい。人間はすぐ抱っこしたがるからな。寛容な我輩が、おとなしくしててやろう。
「はいはい。ありがとうございます、リリ様」
食堂に着くと、この家の主の番が吾輩を出迎える。
「おはよう、リリー。今日も可愛いわね」
とうぜんにゃのだ! 吾輩は人間に愛されて当然の生き物にゃのだぞ!もっと頭をにゃでにゃでするのだ!
吾輩が人間に愛されなかったことなどにゃい。街を歩けば、あまりの可愛さに貢物を持ってくるし、泣いている子供も吾輩の可愛さで笑顔になる。勝手に家に入り込んでも、どの家も大歓迎されるのだ。この我輩を愛でないにゃど、人間の名がすたるわ!
「リリーは相変わらず甘えん坊さんだね。リリーを可愛がるのも楽しいけど。そろそろご飯にしようか」
ごはん!おさかにゃはあるか?サーモン食べたい!
「残念、今日はオムレツですよ。それにサーモンは一昨日食べたばかりでしょう?」
えー、オムレツ?さかにゃがよかったのだ!!
「そうだな。今日の夜は料理長にたのんで、魚料理にしてもらおうか」
おお〜!楽しみにゃのだ! 仕方にゃいから、オムレツで我慢するのだ。
「もう、貴方ったらまたこの子を甘やかして」
「いいじゃないか、これぐらい。幸いここは国一番の港町なのだから。王都のように魚が高級品なわけではないのだし」
「リリー、今日は誰と食べたい?」
んーそうだにゃ。魚料理にしてくれた主と食べてあげよう!
「主じゃなくてパパだよ。リリーは影響されやすいのが問題だね。これは早めにお勉強始めた方がいいかもしれない」
お勉強?子供が大人の話を座って延々と聞くやるやつか?吾輩そんなつまらんことせんぞ!吾輩は賢いからな、そんにゃものいらん!
「お勉強は座って聞くだけじゃないわ。ダンスに魔法の勉強だってあるのよ。魔法の勉強頑張れば、リリーのなりたい猫さんの姿にもなれるかもしれないわね」
にゃに!?猫の姿に戻れるのか!? にゃぜそれを早く言わない!人間は早く走れんし、そこまで高いとこから降りれん。毛づくろいだってできんから不便してたのだ!お勉強とやら、してあげようではないか!
「やる気が出たみたいね?じゃあ早速今日から一人で食べてみる?」
いいのか?吾輩が一人で食べたいと言っても、きいてくれんかったのに。
「それは手づかみで食べてたからよ。ナイフとフォークの練習しましょうね?」
あれは嫌いにゃ。魚すぐ逃げるし、つかめないし、手づかみのほうがいっぱい食べれるし、早いのに。
「そうね、全部と言わないから一口だけでも食べれたら、ご褒美に煮干し出してあげるわね」
ぐぬぬ、煮干しで屈したわけじゃないぞ、どうしてもというならやってやろうじゃにゃいか
フォークとやらをオムレツにグサグサ刺す
しかし、卵はスルッと落ちていく。
イライラするにゃ。人間は大変過ぎるのだ。ご飯すらまともに食べれにゃいにゃんて。
あー早く猫に戻りたいにゃ!