第11話 <偽りの腕輪>
戦闘などでは有りませんが、とてもデリケートな内容が含まれています。ご注意をお願いします。
モンスターとの戦いに苦戦していたところを助けて近くのエリアに移動した一行。食事を済ませて、
Sy(妾に任せよ)
スティールはそう思念伝達しテーブルに乗り上げ話し出した。
目の前で言葉を発した黒犬と、話の内容に対し驚愕して震え出す兄妹。
I「こ、この犬は……。いえ、貴方様は、聖獣様、で、いらっしゃいますか?」
Sy「いかにも。妾は、風の精霊王様の眷属、聖獣でフェンリルのシルビア。」
酷く驚き震えながらも確認してきたイヴァンに対し、尻尾を一振りし答えたシルビア。
N「……聖獣様。」
と呟き両手で口を塞ぎ震え出すナディア。
I「せっ、聖獣様!どうか…「分かっておる」」
イヴァンの言葉に被せるシルビア。
Sy「ルーカス、家を出すのじゃ」
L「え?でも…」
Sy「此奴等なら大丈夫じゃ。
この女子を見てると妾は可哀想 過ぎて悲しゅうてならん。腕輪を外す為じゃ。」
L「分かった」
言われた通りに炊事場とテーブルがある場所から少し離れてエリア内で旅人がテントを張る空きスペースに立ち、地面にタブレロを置きラーマでタッチする。板が木になり、
I.N「「な、何これーーーー!!」」
と再び驚愕する兄妹。
(うんうん、そうゆうリアクションになるよね)と首を縦に振るルーカス、トレバー、フェルナンド。
素知らぬ顔して尻尾をゆらゆらさせながら家の前まで歩いてくるシルビア。シルビアの後に続きずっとテーブルの隅で大人しくしていたジョナスが底飛行で家に近づく。
T「心中、お察しします。大丈夫、我々に着いて来て下さい。」
F「さっ、行きましょ、行きましょう。」
と声を掛けるトレバーとフェルナンドを見てから恐る恐る着いて行くイヴァンと、セレーナに声を掛け支えながら後を追うナディア。
皆んなが此方に近づく途中、ルーカスが一旦 車に戻り車を板に戻す。そして家の入り口ドアを出し開けて中に入る。
I.N「「なっ!!!!」」
っと、兄妹は再び驚愕しながらも、木の中に入っていくルーカス達に続きセレーナを連れて入ってみる。
Sy「こっちじゃ、妾に着いてこい。」
と言いながら歩き出すシルビア。下に向かう階段を降りて行く。下階には、正面に季節物や備蓄品が置いてある棚が幾つかあり幾つかあるドアのひとつの前でお座りをするスティール
トレバーとフェルナンドを見て、
Sy「お主等、そこの棚から何枚かの毛布と簡易トイレを持ってくるが良い。ルーカス、鞄に食料と水は入っているな?」
シルビアの言葉に頷くルーカス、フェルナンドとトレバーは棚へ言われた物を取りに行く。
Sy「この先は修行部屋。仲間同士で空いた時間に模擬戦などをし鍛錬する部屋。扉にパネルがついているじゃろう。修行に集中するためにタイマーをセットして部屋に入りドアを閉めるとセットした時間が経過しないと開けられ無い。
最小5分から最大50時間まで設定できる。
時間が来たらタイマーがなりドアが開けられるようになる仕組みじゃ。
今から、この部屋に入り[偽りの腕輪]を外すが、外した後には、嵌められていた間の経験した本当の記憶が甦ってくる。徐々に時間が遡り、腕輪を媒介にて実際に経験した記憶の一部がフラッシュバック映像として周りに映し出される。
全ての映像を見終えて記憶が甦った時、
腕輪をはめていた本人の取る行動は、
静かに現実を受け止めるもの。
泣き喚き、叫び、絶叫するもの。
暴れ出すもの。
腕輪を解除し介助した此方を逆怨みし攻撃してくるもの。
中には現実を受け止めきれず、後に自ら命を経つ者もいる。
辛い記憶を蘇させるより、腕輪を嵌めたまま死を待つ方が幸せな場合もある。
今のその女子の様子を見るからに、かなり長い間 腕輪をつけられて残酷な経験をさせられていたと推測する。その分、外した後の反動も大きかろう。それでも外すで良いな?」
シルビアは最後、イヴァンとナディアを見ながら言葉を発し、了承の確認を取る。
イヴァンとナディアはお互いに見つめ合い覚悟を再確認しシルビアに向かい頷く。
Sy「ルーカス、パネルにタッチし二十四時間後にセットせよ。今夜は長い夜になるぞ。」
シルビアの話を聞いて、時間をセットしたルーカスは部屋のドアを開けた。
I「どうぞ、宜しくお願いします」
と部屋の入り口でシルビアに向かい深く頭を下げてセレーナを支えるナディアを先導しながら部屋に入って行くイヴァン。
ルーカスは、トレバーとフェルナンドに
L「お前等、今の話を聞いて無理だと思うなら別室で休んでても構わんぞ。」
T「いや、大丈夫だ。俺は一緒に入る。」
F「俺も入る。別室にいても気になるだろうし今の話を聞いて落ち着いていられないよ。」
L「分かった」
と、短いやり取りをして各々 複雑な表情で部屋に入って行く。最後に部屋へ入ったルーカスは振り返り、
L「皆んな、閉めるぞ。いいな?」
と確認し、皆が頷いた後、ドアを閉めた。
部屋の中は、ドア横右手側にベンチが並べてあり奥には別のスペースがあるようだ。振り返ったドアの上に滞在時間の残数がカウントされているパネル。それ以外は広いスペースだけだ。
Sy「部屋の真ん中辺りに毛布を敷いて座らせてやるが良い。そこの兄妹は側で女子を支えてやれ。ジョナス、ジェンナにしばらく通信不通になる旨を伝えよ。」
jo「あいよ」
ジョナスは思念を送り、
トレバーとフェルナンドは毛布を数枚床に敷く。
イヴァンとナディアはセレーナを支えながら毛布に歩み寄りゆっくりと座らせて、自分達も側に座る。
シルビアはセレーナの向かい側にお座りしセレーナを見据える。
ルーカス達は毛布の周りに座る。ジョナスはルーカスの肩に止まった。
Sy「良いな。始めるぞ」
と言い、皆んなが頷くのを確認してから、眼を閉じて念じるシルビア。
しばらくしてシルビアが、淡く黄色い靄に包まれて周りがキラキラと光り出す。
シルビアが、カッと眼を開けた途端、
靄と光がセレーナの腕輪目掛けて光線の様に伸びていき腕輪に吸い込まれて行く。
S「うぅ…… あああああーーーーー!!!!」
と、靄と光が腕輪に到達した頃から、
頭を抱えて叫び出し、蹲るセレーナ。
S「ああーー!!あああーーーーー!!!」
蹲った状態で頭を抱えながら泣き叫び暴れまくるセレーナを見て、周りはどうすれば良いのか解らず動揺が走る。
全ての靄と光が腕輪に吸い込まれてしばらく、
暴れていたセレーナに落ち着きが戻るが、全身を震えさせ、ゼーハァーと激しい息遣いで呼吸する。呼吸が落ち着き出しイヴァンとナディアが、ゆっくりとセレーナを起こし座らせて背中を摩る。
N「大丈夫ですか?セレーナ様」
と、セレーナの乱れた髪を整え吹き出していた汗をハンカチで拭いながら声を掛けるナディアだが、荒い息遣いを繰り返すだけでセレーナの返事はない。
再度 頭を抱えて暴れてから荒い息を整えるを繰り返すこと数十分、腕輪に吸収された靄が再び腕輪から出て来て何やら映像が映し出される。
何処かの町中、
男「セレーナ様、これより先、王国へはイヴァンとナディアの三人で向かって頂きます。
王国で聖獣様と会い、ご自分を取り戻し、どうかお幸せになって下さい。」
I「セレーナ様のことは我々にお任せを。必ずや無事に王国 王都までお連れします。」
N「父上もどうかご無事で。」
男「イヴァン、ナディア、お前たちも重々気を付けよ。息災でな。」
どうやら帝国と王国の国境の町らしい。
ブロンド髪グレー眼のイヴァンによく似ている男とイヴァンとナディアの会話する画像が映し出された。
お読み頂きありがとうございます。
今回より数話分 重い内容となりますが、引き続きお読み頂けたら嬉しく思います。




