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ステルラ  作者: 智織
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第10話 <新たな出逢い>

暴力などのデリケートな内容となっています。苦手な方はご注意 下さい。

シルビアとジョナスを通じて様々な情報がもたらされ、其々が頭の整理をして迎えた翌日の朝、ツリーハウスを元の板に戻し車を出して出発をした。


すぐ近くに流れる川の橋を渡りハーシャス州に入ると

L「トレバー、取り敢えず町に向かい着いたら止めてくれ。食料だとか諸々買いたい。」

T「分かった」


しばらく走り中心街の町に入り車を止めて、大型スーパーでツリーハウスで使うことになるだろう日用品や調理することなくそのまま食べられる出来合い料理やレトルト食品などを色々と買い込みをしてさっさと車に戻った。

王弟と帝国の件について気になるのだ。

気になるが、旅も続けなければならない。

そんな、もやもやした感じで移動するので会話も少ない。


お昼は、通りかかったPAに車を止めて先程買ったサンドイッチで済ませた。


再び車を走らせ、夕方に差し掛かり今日の宿泊予定地にと考えていたエリアに後三十分ほどで着く場所で、モンスターと戦っている、男一人女二人の三人組を見かけた。


*○*○*


戦っているのは男のみ。苦戦している。女の一人は頭を抱えて震えていて、もう一人の女は頭を抱えている女をモンスターから庇いながら支えているようだ。

気になったルーカスは、


L「止めてくれ、助けるぞ。」


と言い、車を止めさせ3人組に向かって走って行く。トレバーとフェルナンドも続く。

戦っているモンスターは[ビッグハンド]

その名のとおり、でかい手だ。手しかなく、浮遊しながら移動する。魔法は使わないが動きが早く、地上から剣や斧などでは届かない高さまで移動する。魔法師や遠距離攻撃出来る者が居ないと辛い戦いだ。戦っている男は武器からして戦士だろう。


パーン!パーン!!


銃声が鳴り響き、[ビッグハンド ランクC]に当たりよろけて高度が下がり落ちてくる。フェルナンドの射撃が当たったのだ。


L「ナイス、ヒット!フェル!後は俺が!」

と、剣が届く範囲まで落ちてきた[ビッグハンド]に「プラズマ・インパルス!」電流を纏った雷系剣技でとどめを刺す。

モンスターを討伐後、苦戦していた3人組に話し掛けるルーカス。


L「おい!大丈夫か?」

「大丈夫。助けて頂き感謝します。ありがとう」

男の返事に対してルーカスは頷き女2人を見る。

L「そっちも大丈夫か?」

「...はい。私達は大丈夫です。助けて頂きありがとうございました。」と支えている方の女が答えた。

もう1人の女はまだ頭を抱えて震えている。


そばに来たシルビアが、女2人の様子を伺っている。そして、頭を抱えている女の方を見て何かに気づいたらしく念話で、


Sy(ルーカス、此奴ら相当な訳ありぞ。話を聞きたい故、一緒に連れて行くぞ。)

L(シルビー?……分かった)

突然シルビアから念話で話かけられ、出来ると知らなかったルーカスは一瞬驚いたが直ぐに了承した。


L「君たちこの後の予定は?俺達はこの先にあるエリアに向かう予定だけど、よかったら一緒に行かないか?」

「いいのですか?助かります。」

「兄さん!」


「この人達なら大丈夫な気がする。それに、そこの黒犬には何か満ち溢れたものを感じる。」


「分かったわ。兄さんがそこまで言うのなら。

すみませんが、同行を宜しくお願いします。

さ、セレーナ様。もう大丈夫ですよ。」

と会話がなされ、


Sy(ルーカス、先に車に戻りラーマで車をタッチし、一旦 板に戻し再びタッチして、この人数が乗れる大きさに変えるのじゃ。大きな車にと念じながらやれば、大きさを変えられる。)

L(分かった)


L「車をあっちに止めてあるから一緒に来て。悪いけど俺 先に行くから。トレバー、フェルこの人達を車まで連れてきてくれ。」

T.F「「了解」」

と返事をしてトレバーは[ビッグハンド]を鞄へしまう。小さめの大人の背丈ほどもあるでかい手。鞄ギリギリだ。


ルーカスは車へと走り、車の大きさを変える。

8人乗りのワゴンタイプになった。

皆んなが車へと到着し、乗り込み車は走りだしエリアへと向かう。


*○*○*



エリアに到着した時にはすでに陽が暮れていた。幸い他に利用者はいないらしい。

車から降りたシルビーが


Sy「WAOーOーOーOーOーN!!」

と、ひと吠えして、念話で、

Sy(この辺り一帯に結界を張った。これでモンスターはもちろん他者も入って来れぬしエリア内が見えぬうえ音も聞こえぬからエリアを独占出来る。まずは食事じゃな。そこの三人組も腹を空かせてるようじゃ)

ルーカスはシルビーを見て頷き


L「取り敢えずメシ食おうぜ。腹減った。」

と言いながら鞄から次々と食べ物をテーブルに出す。屋台風グルメのテナントで売ってた色々な串焼きや揚げ物など食べ歩き出来るお手軽な料理とドリンクとパンだ。

エリアの炊事場の近くには石で出来たテーブルとベンチ椅子が二組あり、炊事場の奥に湧き水がある。大陸中の各エリアに昔から敢えて残されている井戸水をポンプで汲み上げたりその場に湧き立つ水だ。

夕食を出し終えて買っておいた使い捨てカトラリーをそれぞれに渡す。

ルーカスは炊事場近くに座っていて隣りにトレバー、フェルと続く。

ルーカスの向かい側に男、隣りに頭を抱えてた女、フェルの向かいに男の妹らしき女だ。


L「遠慮はいらない。食べてくれ」

と3人組に声をかけて食事をする。

鞄から出した串焼きは鳥肉や豚肉のほか、玉ねぎ、ピーマンなど野菜と交互に刺してあり、塩と胡椒のバランスが絶妙で美味い。タレ味もあり少し辛めだが此方も絶品だ。

鳥肉の揚げ物も美味くパンもふわふわだ。

基本、王国の食事は美味い。

遠慮がちだった3人組も、やはり腹を空かせてたのか、徐々に食事が進んでる。

ただ、頭を抱えていた女は食べるのが下手くそで、手掴みである意味 野生的な食べ方をしている。隣りの女に手伝ってもらいながら食べていた。

皆んなが食べ終えてテーブルのゴミを粗方 片付けた頃、




Sy(ルーカス、そろそろ話を)

L(了解)


L「腹は満たされたか? そう言えば自己紹介が未だだったな。俺はルーカス、隣はトレバーで奥がフェルナンドだ」

T「よろしく」

F「よろしくねー」


「助けてもらった上に食事まで頂き感謝します。」

「ありがとうございました」

と男と妹の方が答える。

L「君たちは3人で旅をしてるのか?先程のモンスターに対し真ん中の子は震えていたみたいだが、もう大丈夫か?」

「はい、もう大丈夫です」

と真ん中の子に質問をしたが、

返事は妹が返してくる。


男「私達は王国の王宮を目指して旅をしています。」

L「王国の王宮?って言い方ってことは他国の人?」

兄妹は顔を見合わせ、妹が頷くと兄は話だした。


男「私はイヴァンと申します。奥の子は妹のナディア、隣りの女性はセレーナ様と言います。

私達は王国の王宮を目指して帝国から来ました。理由は言えません。」


イヴァンと名乗った男は、プラチナブロンド髪 スチールグレー眼をしていて、中々な良い体格と男前な顔立ちをしている。ナディアという妹の方は、ホワイトブロンド髪 スカイグレー眼。こちらも綺麗な顔立ちをしている。真ん中に座るセレーナという少女は、ダークブロンド(焦茶)髪 琥珀眼だ。吸い込まれそうな綺麗な瞳と顔立ちをしているが、表情がない。


L(帝国から来て王宮を目指しているが、何故かは言えないねぇ。)

チラリとシルビーを見ると、

ルーカスの隣りで地べたにお座りをしている。

何か考えているみたいだが……、

念話で話しかけてきた。


Sy(ルーカス、真ん中の女子の腕に嵌っている腕輪の話をそれとなく聞くのじゃ。)

ルーカスは頷き、


L「あの…さ、セレーナさんの腕に着けてる腕輪、よかったら見せてもらえない?」


Sy(直球、キター!聞き方、下手くそじゃの!!)

と、シルビアはルーカスにツッコミたかったが目をすがめ尻尾を数振りする程度に我慢した。


すると、イヴァンとナディアは慌て出し

I「そ、それは出来ません!!」

N「た、ただのアクセサリーです!どうぞお気になさらず…」

動揺する兄妹を見て、(腕輪には何かある。帝国の人間が王国に来て、腕輪に事情あり……ひょっとして外れないのか?)とルーカスは思い至り、

L「腕輪が外れないのか?」

Sy(またもや、直球ーー!!)

シルビアは、右前足で顔を隠し首を左右に振り呆れる。此奴に誘導や尋問は無理だな。

とシルビアは悟り、突っ込むのを我慢する。

驚き、動揺を隠せず黙り込む兄妹。


Sy(もう、よい。妾に任せよ)

ルーカスは苦笑いし、頷く。


シルビアはテーブルに乗り上げお座りして


Sy「[偽りの腕輪]じゃな?」


ここまでセレーナは一言も発しない。女で話すのはナディアのみ。

そこに突然、セレーナともナディアとも違う女性の声が聞こえた兄妹は、周りを見渡しながら更に動揺し、顔を青くする。


Sy「その女子(おなご)の腕に(はま)っている腕輪は[偽りの腕輪]。その名の通り腕輪には()めた本人の欲望を写し幻を見せる効果がある。その間に思考回路を経ち洗脳する。

その昔、奴隷に対し無理矢理嵌めさせ、腕輪を嵌めた者からは徐々に表情や感情が消え、偽り、つまり現実に起きている事とは別の幻を見せ続けられる。現実では強制労働、拷問、性的暴行などをされているが、腕輪をした本人はそれと分からず、幻を見続けながら、命令に従い表情と感情が消えたまま命令通りに動くのみ。

外せるのは腕輪を無理矢理 嵌めさせた本人と、精霊王様、聖獣だけじゃ。」


兄妹は目の前で人語を話す黒犬に驚愕し立ち上がり震え出すのだった。







お読み頂きありがとうございます。

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