第9話 <救いを求めて3 side:セレーナ by.イヴァン2>
今回も帝国民3人のお話ですが、第三者の視点も入ります。
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王国側の国境に近い無法地帯にある森。
約一ヶ月掛けて駆け抜けたここも終盤を迎え、間も無く検問所が見えて来るだろう。
不成者と出会すことなく、野生生物やモンスターも大凡は俺一人で対応 出来たし、心配していたセレーナ様がパニック状態になる事も無く無事此処まで辿り着けた。
この旅の難関のひとつ、検問で王国に入国する為の理由をどう説明すれば伝わるだろうか。
考え事をしているうちに検問所につき、通行する人間がいないから待つ事なく、逆に帝国側から人間が近付いてきたことに驚いてる様子だ。
言葉のキャッチボールも成立してないうちに一つの部屋に通されお茶を出されて椅子に座ることになった。
「その辺の椅子に座ってくれる、今コーヒー出すから。あ、紅茶のがいいかな。」
I「いえ、お構い無く。あの、俺たち、」
「いやー、君たち凄いね!久しぶりにあの森からうちの守衛隊員 以外の人間が出てくるの見たよ!」
「普段は迷い込んで来るリスや猿しか見ないからな。」
「あとは定期的にモンスターを間引きする為に森に入るか、半年に一回のペースで山の向こうの草原まで訓練に行くかだよ。」
「それでも人に会うことは無いから、野生生物やモンスターにとっては有る意味楽園だよな。」
I.N「「・・・」」
「あ、遠慮なくドリンク飲んで。もう直ぐうちの知j...」
「おーい!森から人が出て来たって本当かー!」
「噂をすればだな。」
「ほんとじっとして居られない人だよな。」
「今日は来る予定の日だったぞ確か。」
「わぉ!タイミング良過ぎでしょ。」
ノックも無しにガチャっとドアが開き1人の壮年な男性が入って来る。
椅子に座っている隊員以外の人間の俺たちを見つけて、
「「「フーサトゥーナ州知事、今日もお疲れ様ーっす!!」」」
「おう! おっ!お前らか。森から現れた人間は。人間だよな?」
I.N「「「「「・・・・・」」」」」
壮年の男性は、ドカッと椅子に座り机に差し出されたコーヒーを飲む。
男性の雰囲気が変わり鋭い視線を向けられながら
「で、帝国の人間が定期船使わずにわざわざ無法地帯と呼ばれている深い森と幾つもある山を越えて此処まで何しに来た。不作に次ぐ不作で困窮し船賃も払えず危険を冒して無法地帯越えて出稼ぎに来たか。もしかしてこれからお前らみたいな難民が増える可能性があるのか」
睨みを効かせた視線を受けながら考える。
ナディアには発言は俺がするからなるべく控えるように言ってある。
確かに何年も不作続きで、初夏には穀蔵の備蓄が食物病で駄目になり急遽 他国からの輸入に頼りセニート王国からも来た。
景気は下る一方で職業難民も増えて来ている。
困窮はしているが、現副首相を始めとする政治家達の政治経済の回しと俺たち陸軍が各地を周り配給と現地民のケアをして何とか経済を回している。
帝国民は毎年の厳しい冬の寒さに耐えて生きている人が多いから困難な事に対して我慢強い国民性な方だと思ってる。
だが、困窮しているのも確かだから他国から見たら難民が流れて来る事も考えられるのか。
無法地帯での訓練と国境を警備する軍隊が、軽口を叩きながらも慕わしい態度で接するフーサトゥーナ州知事と思われる壮年の男。
信用しても大丈夫だろうか。
気まずい雰囲気が流れる中、帝国の現状と、帝国に来た王国王弟様と帝国皇族の密約の話、三人で無法地帯を通って王国に来た事情を正直に説明する。
話をしているうちに州知事らしき人が、眉間に皺を寄せたり、周りに座る検問隊員と視線を交わし合ったり、セレーナ様の腕をチラ見してドンッ!と机を叩いたりしながらも俺の話の腰を折らない為だろう黙って最後まで耳を傾けて聞いてくれた。
そして沈黙が流れる中、何か思案していた州知事が、
「よし、帝国の現状とお前らの事情はわかった。検問を通してやる。帝国民を通した責任は俺が取る。王宮に連絡して送る事も可能だが、俺たちが行動を共にすると却って目立ち過ぎる。残念ながら王宮には王弟様の息のかかった連中もいるからだ。帝国民のお前らを連れてって、国王様に会う前に王弟側の人間に見られたら厄介だから悪いけど送れない。
王弟側に見つからない様に国王様に会える様に手は回してやるから自分達で王宮まで向かってくれるか。
今日のところは此処に泊まって行きなさい。
相当 疲れている様子が見える。一晩ゆっくりして旅の疲れを取るといい。明日の朝までに王宮に話を付けといてやる。」
男女別で部屋を与えてもらい、一泊お世話になる事になった。
*○*○*
帝国民を別室へ移した後の会議室では
「先ほどの話、大丈夫なんすか。」
「面倒ごとに首を突っ込んでってるように見えますが。」
「彼らの話はどこまで信用出来ますかねぇ。」
「恐らく全部本当のことだろう。
皇族側とはある意味別の組織に所属してた軍の一員だった人間が、たった2人で1人の少女の面倒を見ながら、彼女を救いたい一心でこの無法地帯の中を此処まで来たんだ。」
「あぁ、腕輪した非常に整った見た目の子なのに、表情が全く変わらなかった子っすね」
「俺も三人を観察してましたけど、その子、表情 動かないどころか目の焦点が時々おかしかったですよ。」
「もう一人の子は腕輪した子が心配なんでしょうねぇ。ずっとその子を見てましたしぃ。」
「あの若者達の打倒 相手は皇族だ。仲間もそれなりにいるんだろうが、相当な準備を用意周到にしてもどこまで対抗出来るか。
我々 王国民を信用して良いのか疑いをかけつつも慎重に話をしてきたところを見ると相当切羽詰まってるんだろう。」
「姐さん宛ての手紙を持たせるんすか」
「それが一番早いだろうな。俺の使者に見立て、俺の手紙を王妃である姉貴に直接 渡す使命を受けた。と言われたら王宮警護隊も彼等を無下にはせんだろう。あとから何か言われそうだけどな。」
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夕食と朝食を頂き、一月ぶりのシャワーとベッドで就寝出来て久しぶりにゆっくり寝れた気がする。 ナディアとセレーナ様もゆっくり出来たんだろう。肌や髪の艶が良いように見える。
I「お世話になりました。」
「おう。王宮まで距離があるから鉄道など使わしてやりたいんだが、システム複雑な上に乗り継ぎが面倒でな。」
I「いえ、お気遣いなく。なるべく節約したいので自分たちで考えながら向かいたいと思います。」
「おう、この白の封筒に入ってる手紙を王妃に直接 渡したいと言え。で、こっちの茶封筒を門番のメイソンという男に渡せ。俺の名前を言えば通じる。俺は、フーサトゥーナ州知事エイダン・サンチェス」
E「白封筒を王妃様、茶封筒を門番のメイソン様、これらをフーサトゥーナ州知事エイダン・サンチェス様より預かった。で宜しいですね。」
「そうだ。気をつけて行けよ。」
I「本当にお世話になりました。ありがとうございます。」
挨拶を交わし、三人で国境検問所を無事に抜け王国に入国することが出来た。
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