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ステルラ  作者: 智織
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第9話 <救いを求めて2 side:セレーナ by. ナディア1>

今回も帝国民である3人のお話です。

■□■□■


国境の町で父様と別れて、兄さんのイヴァンと、私と同じ年 同じ魔法師のセレーナ様の三人で帝国と王国を繋ぐ唯一の陸地部分 無法地帯を王国を目指して旅は続いている。


今は険しかった幾つもの山々を超えての王国に近い側の平地を進んでいる。


季節は秋に差し掛かっていて、

帝国を出発する時に持ち込んだ食料はとっくに尽きてしまっていた。


水は、遥か昔から有るけど ここ何十年は使われている形跡のなさそうなエリアにある湧き水が未だ湧いている場所があったり、沢になっている箇所があったりしてそこで確保している。


食料は無法地帯の深い森と山々で採取した植物や討伐した獣やモンスターの肉で食い繋いでいる。

お陰で飢えることもなく、森や山の恵みに救われているわ。


この無法地帯越えも思わぬモンスターとの遭遇だったり、食料確保するために採取に時間を取られたり、移動疲れが出てペースダウンしてしまって一日の目安で稼ぐ距離まで辿り着け無かったりで多少 支障をきたす場合もあるけど、概ね予定通りに進めてると思う。

このまま順調に行ければ、あと一週間程で王国側の国境にある州、フーサトゥーナ州に辿り着けるはずだわ。


無法地帯に生息している野生生物やモンスターは比較的にそんなに強くは無くて、兄さん一人で討伐 出来ている。

兄さんの得意としている武器は斧。剣も扱うけど、体格が良くて力持ちな兄さんは、剣は使い辛いみたい。どちらにしても近距離攻撃担当だから武器の間合いより離れてしまう鳥系だったり遠距離攻撃や魔法を使ってくる相手は苦手としてる。




帝国側の森も険しかった山々でも盗賊どころか人に会うことが無かったから、本当にこの無法地帯と呼ばれている場所には人の出入りが少ないというか居ないんだと思う。


舗装された道なんか当然 無いし、強いモンスターがいないとしてもある程度の自衛とサバイバル能力が無いとモンスターにやられちゃうか、とっくに飢えで死んじゃう事になると思うわ。

あと、不思議鞄で嵩張る物や大量の荷物をコンパクトに持って移動出来るのも影響するわね。

途轍もなく高いけど、不思議鞄 様様。





[偽りの腕輪]と呼ばれる幻覚を見せ洗脳し、自我を取り上げ操り人形の様に人を扱う忌々しい代物。


外すことが出来るのは、無理矢理 嵌めさせた人間と、この世に八柱 存在する精霊王様、精霊王様の眷属と言われている聖獣様のみ。


北大陸には氷柱様と影柱様のニ柱様が存在していて、腕輪を嵌めさせた皇族の目を盗んで精霊王様と眷属様を散々 探してみたけど、存在して居るだろう場所の特定はある程度把握しているのに、精霊王様どころか眷属様にも逢うことが叶わず空振りに終わってしまっている始末。

聖獣様がどんな生き物でどんな姿をしているのかさえ知らないのだから。


[腕輪の影響でパニック状態になりどんな行動をするか分からない可能性がある。]と聞いているから気が抜けない。

幸いにも旅は順調で[死の山越え]と呼ばれている幾つもの険しい山々を無事に超えて、平地をスピードアップして移動している最中だけど、今のところセレーナ様がパニック状態になる事はなく助かっている。

でも油断は出来ないから、

移動中も夜を明かす設営中も野生生物やモンスターとの戦闘中も目が離せない。


だから移動中は兄さんが前を歩いて先導して、設営中もセレーナ様に気を配りながら作業して、戦闘中は鳥や魔法を使う遠距離攻撃をしてくる相手に対抗しなければならないもの以外は兄さんが倒して私やセレーナ様は基本 手出しはしない。


セレーナ様の様子と言えば、自我では行動していないから、何をするにも私が声掛けをして其れを実行してもらっている。


移動や戦闘中はもちろん、設営中の食事や待機する場合、身体を拭くことや着替えは一人で出来ていない時もあるからお手伝いをして、花摘み所謂トイレも必ず付いて行って お手伝いする時もある。


同じ年ということは17歳で、[華も恥じらう乙女]と言われる年。

恥じらいの強い年齢だと思っているけど、今のセレーナ様にはそれがない。

上手に食べられず食事を溢してしまうときもあるし、着替えやタオルで身を清めている時、つまり人前で肌を露出している時も、トイレでさえも他人の目を気にして見られるのが恥ずかしいから人目を避けて行動するべき内容が、

[恥] の概念が無いために、汚してしまった服の着替えを促すと兄さんも一緒にいるその場で脱ごうとするし、トイレを催した時も人目を避けるため移動する事をせずその場で実行しようとするから、ハラハラする時があるわ。


セレーナ様は、そのお顔の造形もスタイルも文句のつけようが無い美しいお姿で、着替えなどのお手伝いをする時にもちろんガン見はしないけど、目に映ってしまう時は、なんだか胸がドキドキして自分がいけない事をしてしまっている気持ちになって私の方が恥ずかしくなってしまう気分と同時に、同じ人間 同じ女の子だから付いているものも同じなのに、自分の容姿とつい比較してしまい落ち込むことになる時があるわ。

特に可愛らしいお(へそ)とその上にある双峰が目に映ったら。くすん。


ま、まあ それは私の気持ちの問題だからセレーナ様は関係の無い話なんだけど。




人や動物なら体を動かす度に何気なく動くはずの筋肉。

目や目の周りや口角、感情があるなら無意識下でも動くその筋肉がほぼ動くことの無いセレーナ様。

もちろん生きているのだから、瞬きもするし、食事を取る時や言葉を話すために口数は圧倒的に少ないけど口の開閉はしているけど、淡々とし過ぎていて高揚が無いというか起伏が無いというか。


完璧な容姿で、父様 曰く5歳の時点で頭脳も明晰に成りつつあった美幼女。

なのに両親も表情も感情さえも取り上げられて命令された事を実行するだけの日々を送るセレーナ様。


自分で考えたり感情で動いたりしている訳じゃないから側にいると時々、とても切なくて悲しくて痛々しい気持ちになる。


帝国では、自分達で結局 見つけられなかった聖獣様。

王国の王宮に棲むと言われている。

このまま無事に王国まで辿り着き、王宮で王国の人に事情を話して聖獣様に会える事を一縷の望みにして私は今日もセレーナ様を側でお支えして頑張りたいと思う。


お読み頂きありがとうございます。

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