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私立探偵 真加部阿礼  作者: 春原 恵志
アルラアナ呪われたもの
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真加部阿礼

 駒込は話を聞いて納得する。

「つまりアルラアナは真加部阿礼ということですね」

『そういうことだな。文伍はビルスミスと話を付けてアルラアナを自分の娘とした。文伍にしてみれば、その場しのぎだった。とにかく米国に入国できる手筈を取りたかったために娘にしたんだ。ただ、結局そのままになった』

「二人が望んだんですか?」

『どうかな。あの二人の関係はそんなもんじゃない気がする。それこそ前世からの因縁というか、なるべくしてそうなった気がする』

「へー、そうですか」

『だってカンダハルで会っただけだろ。どうしてそれだけで信頼関係が作れるんだ。何かの力が働いたんだろ』

「チョコレートが効いたのでは」

『それはどうかな』

 それはありうるのか、ボケて言ったのだが。

『阿礼という名も文伍が付けたんだ。アルラアナに語感が似てるし、古事記を作った人で稗田阿礼っているんだろ。男か女はわからない謎の人物だ。そこから取ったらしい』

「へー、あ、でも元々阿礼さんはどうしてタリバンに入ったんですか?」

『そこは知らない。本人も話したがらないし、色々あったみたいだ』

「あの桁違いの運動能力はタリバンで培ったんですか?」

『そこもよくわからない。でも文伍が言うには生まれつきだと言ってたな』

「生まれつき?じゃあ、あの外国語を何か国語も話せるのも生まれつきですか?」

『アメリカに行ってから勉強したみたいだ。ブラックスワンに一時期いたからな。文伍から英才教育を受けたみたいだ』

「文伍さんと知り合ったのは阿礼さんがいくつの時ですか?」

『10歳だな』

「それじゃあ、ずいぶん短期間でそういった能力を身に付けたんですね」

『ああ、そういう意味では天才に近いのかもしれない。いわゆるギフテッドってやつかな』

「運動神経だけにとどまらず、そういった能力も桁違いなんですね」

『そうらしいな。なんかスポンジみたいにどんどん吸収していくらしい』

「そりゃすごいな。それで話を戻して、阿礼さんはタイへは何しに行ったんですか?」

 マカアレは少し躊躇する。駒込はじっと待つ。

『聞きたいか』

「ぜひ」

『阿礼の子供の時の記憶がある。タイにいた時に両親がいたっていうんだ』

「タイに両親がいたんですか?」

『俺も文伍から聞いたのではっきりしない部分もあるんだが、ちょっと違うみたいだ。父親はおそらく3歳ごろにいなくなったらしい。人間、この時期の記憶は曖昧だろ。ただ、母親はずっといてそれはタイ人だって聞いてる』

「じゃあ、父親もタイの人ですか?」

『それがさ、阿礼が日本語を覚えてるのは、父親がそれを話したからだと言ってるみたいんなんだ』

「じゃあ日本人の父親ですか。ああ、それで日本語を少し理解していたんですか」

『母親は日本語を話してないから、そういうことだと思う』

「じゃあ、今回のタイ行きは母親に会うためですか?」

『そういうことだな。実は文伍と阿礼は約束してるんだ』

「約束ですか?」

『阿礼は父親のことを含め、自分の出自を知ることが必要だって、文伍がそう言ってたんだ』

「自分のルーツを探れと言うんですね」

『そういうことだな』

「文伍さんは何か知ってたんですかね」

『どうかな。それは今となってはわからないな』

「なるほど」

 駒込の携帯が鳴る。

 相手は西城のようだ。ここに不必要に長居をしてしまったのだ。かれこれ、5時間はここにいた。催促の電話だった。

「パクさん、ありがとう、僕は署に戻ります」

『パクじゃないぞ、マカアレだ』

「ああ、そうでしたね。じゃあ、また」

 そういって駒込は去っていく。

 駒込が去ってから、パクがパソコン部屋から出てくる。

 駒込が座っていたソファに座って、一人ため息をついた。

最後までお読みいただきありがとうございます。不思議な話ですかね。最初からこの設定があったのです。大筋でそのまま書けています。ただ、最後に向けてとんでもなく長くなりそうでどうしようかと思っています。

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