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私立探偵 真加部阿礼  作者: 春原 恵志
パクミンヘ
32/130

江古田警察署

 江古田署ではこのところ大きな事件も無く、署員は通常業務に従事している。もちろん組織犯罪対策課もだ。今は昼休みで西城が外飯を終えて、職場に戻って来ていた。

 西城は駒込が何やら熱心にスマホを見ているのに気づく。

「ゴミ、どうした?」

 駒込は弁当を食いながら、動画を見ているようだった。ただ、どうも様子が変だ。

「ああ、西城さん、これ阿礼ですよね」

「何々」西城がスマホに顔を寄せる。

 動画は本庁のようだ。天下の警視庁の壁面を、何か人のようなものが滑り降りてくる。

「これ、何だ。CGか?」

「いえ、おそらく実写です。多分、車載カメラだと思うんですが、警視庁の壁を滑り降りて来てます」

 まるで体操選手が鉄棒をするかのように、壁面の突起を離しては掴むを繰り返して、あっという間に地上に降りてくる。ただ、後ろ姿で顔は見えない。一応、警察官の服装をしているが、これが本物とは思えない。

「まあ、こんなことができるのは阿礼以外、いないだろうな。しかしすごいな。本庁だろ、噂になってないか?」

「そうですね。知り合いに聞いてみます」

「警察官の格好しているな。何やったんだか」

「何、見てるんだ?」

「わ」

 二人の後ろに音も無く、真加部がいた。西城があきれ顔で言う。

「お前はいつも音も無く近づくな。忍者か」

 駒込が聞く。「これ、阿礼さんですよね」

 そういってスマホを見せる。

「俺じゃないぞ。そんな違法行為するわけないだろ」

 西城たちは信用していない顔だ。真加部は気にせず言う。

「駒込、暇あるか?」

「何ですか、いきなり、毎日忙しいですよ」

「ちょっと飲み会やろう」

「飲み会ですか」

 西城がにやにやしながら言う。「合コンってやつか」

「何だ。合コンって?」真加部が不思議そうな顔で聞く。

「合コンもしらないのか、あれ、合コンって死語か?」

「いえ、僕らも使いますよ。合コン、合同コンパでしょ。あれ、元々の意味はどういうことなのかな」

「で、合コンって何やるんだ?」真加部は興味深々だ。

「男女が集まって乳繰り合うんだ」

 あわてた駒込が必死で止める。

「違いますよ。男女で飲み会をやるだけです」

「それが合コンか。ああ、じゃあ、それやろう」

「えーと、どういうことですか?」

「うちのパクにもそういう知り合いを増やしたいんだ」

「ああ、パクさんですか」

「そうそう、俺たちと駒込達で合コンやろう」

「いいですよ。いつが良いですか?」

「こっちはいつでもいいぞ。何ならこれからでもいい」

「いや、それは無理ですよ。じゃあ、メンツを集めて計画しますね」

「ああ、よろしく」

 それだけ言うと真加部は消えて行った。

 後ろ姿を見送った西城が言う。

「あいつらも年頃だからな」そういって駒込を見る。

「なんか、お前もその気があるんじゃないか、妙に赤くなってるな」

「はあ、何言ってるんですか、そんなわけないですよ」

 駒込は慌てて仕事に戻る。

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