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私立探偵 真加部阿礼  作者: 春原 恵志
100%の危機
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デューク

塩野は江古田署からも近い中村橋の一軒家に住んでいた。

 お子さんたちは独立して、現在は老夫婦だけでその家に住んでいるという。昔ながらの木造2階建ての庭で塩野夫婦とデュークに面会する。

 67歳になる塩野は、60歳になる奥様と一緒にごま塩頭をかきながら阿礼に応対する。

 夫婦のそばに、ぼんやりとデュークがいた。

挿絵(By みてみん)

「西城から聞いたんだが、デュークを捜索に使いたいんだって?」

「そうなんだ」

 デュークはブラッドハウンドという大型の犬種で、顔の皮膚がたるんでいて、見た感じがおじいさんのように見える。雰囲気はゴールデンレトリバーに近い。ただ、若い頃からこの顔だったらしく、特に歳をとって老け顔になった訳では無いらしい。

 デュークは阿礼にそれなりに関心があるのか、ハアハア言いながらじっと見ている。

「警察犬としても優秀だったと聞いている。徘徊老人を見つけたり、とにかく行方不明者を探すのは得意だったみたいだ。表彰も何度もされたそうだよ」

「そうか、すごいな」

 阿礼はデュークの頭をなでる。ただ、反応はいまいちだ。

 奥さんが話す。

「ただ、うちにきて半年だけど、どうも元気がないのよね」

「そうなのか?」

「おとなしいとは聞いてたんだけど、吠えもしないのよ」

「元々、やんちゃな方では無かったらしいんだが、年齢のせいなのか、他の要因なのかはわからないんだな。獣医にも見せたけど異常はないって言うんだ」

 阿礼はデュークをじっと見る。デュークも阿礼を見るが吠えたりもしない。本当におとなしい。

 デュークをなでながら奥さんが聞く。

「迷いネコを探すの?」

「そうなんだ」

「猫は難しいらしいぞ」塩野が言う。

「そう聞いている」

「こいつは鼻が良いから、見つけることは出来るかもしれないが、問題はその後だ。猫を捕まえるのは大変だぞ」

「そうらしいな。今、研究中だ」

「そうだな。犬に捕まえさせるのは無理だ。出来るのは、いる場所の特定までだな」

 ここで塩野は警察犬の捜索の仕方について、阿礼にレクチャーする。警察犬ならではの方法があるらしい。阿礼はしっかりと理解する。

「二日間ぐらい、借りていいか?」

「ああ、大丈夫だ。ご飯は一日2回、ドッグフードで大丈夫だ」

「2回で良いのか?」

「警察にいた頃からそうなってるらしい。うちに来たら間食も増えたからか、あまり食べる方じゃないな」

「こんなに大きいのにね…」

「ドッグフードはどんなものにすればいい?」

「市販のやつよ。うちではこれをあげているの」

 奥さんが見せたのは、テレビでも宣伝しているドッグフードだった。

「わかった」

「何かあったら遠慮なく連絡してくれ」

「ありがとう、じゃあ借りていく」


 阿礼は犬とのペアは初めてで、どうも勝手がわからない。人間に対しても指示をするのは苦手で自分でやる方が楽なのだ。犬と言う生き物が人間の指示で動くと言われても接し方がよくわからない。塩野から捜索方法については一通り聞いたので、その通りやることにする。

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