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私立探偵 真加部阿礼  作者: 春原 恵志
ボディガード シーズン2
107/142

アナン

 ホテル内のアナンの部屋では西園寺と川谷、そして探偵社の人間が彼のノートパソコンを見ている。

 探偵はどこか堅気には見えない。白髪頭だが40歳代と思えるその探偵が話す。

「ホテルの廊下側の防犯カメラ画像です」

 ホテル側に警察だと嘘を言って、防犯カメラ画像を入手したようだ。

 時刻は深夜2時半である。

 スイート前に二人のボディガードが待機している。交代で仮眠しているのだろうか、一人は座り込んでいる。立っているのは大柄な元ボクサーだ。

 そこにホテルの制服を着た女性らしき人物が歩いて来る。後ろ姿なので女性らしきとなる。ボディガードの前を会釈しながら通り過ぎた瞬間に、いきなりスタンガンのようなものを突きつける。あっという間だった。それでボクサーは倒れこむ。座っていたムエタイも気が付くのだが為す術もなく、同じようにスタンガンで倒される。

「やられたな…」

 西園寺の声で探偵が振り返る。

「問題はこの後です」

 3人ともに画面に集中する。

 制服の女の後ろから同じく制服を着た2名の男たちが現れた。彼らも身構えている。

 制服の女性がドアを解錠しようとすると、突然画面が途切れた。

「え、どういうことだ?」西園寺が言う。

 探偵が答える。

「おかしなことに以降の画像が無くなってます。ホテル側が削除したのか、あるいは奴らが…」

「いや、おかしいだろ、だったら最初から削除するだろうが…」

「はい、確かにそうなんですが、ホテル側の操作ミスなのかもしれません。とにかくこの後の映像が10分程度削除されています」

「10分間だけか、それ以降の映像はどうなってる?」

「今と同じです。扉の前には誰も居ません。それが続いていきます」

「ボディガードをスイート室内に運んだということか」

「そうなりますね。入り口前からいなくなっていますから」

「坊ちゃんはさらわれたのか?」

「それは間違いないでしょう」

 西園寺は頭を抱える。アナンが質問する。

「阿礼はどうなったんだ?」

「真加部阿礼ですか?」探偵が驚く。

 西園寺が探偵に聞く。

「阿礼を知ってるのか?」

「ええ、同業者ですから、あいつがいたのか。でもいなくなってますね」

「阿礼ごとさらわれたのか」

「そうだと思います」

「他の防犯カメラはどうなんだ。何か映ってないのか?」

「ホテル周辺の防犯カメラも当ってるところです。そっちの方は時間がかかります。すみませんが今のところは何もわかっていません」

 アナンが西園寺を睨む。西園寺が気まずそうに答える。

「今、うちの組が総出で坊ちゃんの行方を探してます」

「当てはあるのか?坊ちゃんのスマホは部屋にあったんだよな」

「そうです」

「阿礼のスマホはどうなってる?連絡したのか?」

「つながらないです」

 八方ふさがりだ。西園寺は探偵に当る。

「早く情報を掴め。警察でもなんでも利用しろ」

「わかってます。うちも総出で探してますから」

 アナンが時計を確認する。

「ボスに連絡しないとならないな。遅くとも昼までに何とかしろ」

 探偵がうなずく。

「わかりました」

 探偵はそう言ったのだが、あてがあるとは思えない。

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