江古田警察署
組織犯罪対策課の朝礼が終わり、会議室から出てきた西城賢二は苦渋の表情だった。今日の課長の話はまさに喫緊の課題だった。
相棒の駒込大輝、無駄にイケメンの通称ゴミが話しかける。コマゴミが本名でゴミという愛称である。
「面倒なことになりましたね」
「ああ、四谷会はうちの管轄だからな。これが新宿区にでもあればよかったんだが」
「そういう問題ですか?」
「馬鹿、冗談だよ、冗談」
駒込は疑いの目をしている。
「最近、四谷会の動きが激しかったからな」
「新興勢力ですか。また、抗争が始まるんですか」
「しかし、今回は相手が悪いな。あいつらはまともじゃない」
「実際はどうなんですか?組織がわかってないって話でしたよね」
「半グレでもチームだとか、暴走族上がりじゃないってことみたいだ。これまでの常識が通じない」
「もうすでに小競り合いが数件、起きてましたからね」
西城は首をひねる。
「困ったもんだな。それと四谷会の動きも気になる。最近、おかしかったよな」
「ああ、それですか、昨日、組の若い連中が言ってたんですけど、海外からお客さんが来るみたいです」
「お客さん?」
「ええ、どこかは知りませんけど、その接待に西園寺が行くみたいですよ」
「西園寺が…なんか、増々きな臭いな」
「新興勢力を探りますか?」
「そうだな。まずはそこからだ」
二人が外回りに出かけていく。




