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私立探偵 真加部阿礼  作者: 春原 恵志
ボディガード シーズン2
102/130

ジラワット

 タイからの直行便が到着した。

 ぞろそろと観光客らしき連中が降りてくる。そのインバウンドの観光客の中でもひときわ目立つ連中が歩いて来る。タイの反社だ。

 10歳のジラワットはよそ行きの服装で、ブランドもので固めている。ポロシャツとジーパンだが、その値段は張るだろう。靴もスニーカーだが、プレミアものだ。親父の行き過ぎた愛情を感じる。その後ろにはプロレスラーを思わせる筋骨隆々の男たち二人がガードしている。ボディガード付きだ。

 ジラワットの横にいる男が西園寺に気付いて、手を上げた。

 西園寺が手を合わせて会釈する。

 ゲートから出てきた男が西園寺に話しかける。もちろん英語だ。

「西園寺さん、久しぶりです。今回はお世話になります」

「こちらこそ、アナンさんよろしくお願いします」

 続いて川谷もさらに流ちょうな英語で応対する。なるほど、単なる馬鹿では無かったようだ。英語が出来るので随行しているのか。

 ジラワットは10歳児としては小さい方なのか、130㎝を超えたぐらいだ。いかにもいいとこの坊ちゃんと言ったかわいらしい顔立ちで、どこかひ弱そうにも見える。真加部を不思議そうな顔で見ていた。

 タイの男、アナンと挨拶を終えた西園寺がジラワットに英語で話しかける。英語なので訳はわからないと思うが。

「おはようございます。私は西園寺と言います。彼女は通訳の真加部阿礼です。あなたの身のまわりの世話をします」

 ジラワットは英語がわかるようだ。理解はしていたようだが真加部がタイ語で通訳した。

 流ちょうなタイ語にタイ側の関係者が驚く。

 ジラワットが真加部に話す。

「どうして話せるんだ?」

「俺は子供の頃にタイにいたんだ。それで話せる」

 アナンが真加部に挨拶する。

「アナン・プラサートだ。真加部は4日間帯同するのか?」

「3日間だと聞いている。遊園地巡りまでだ。もちろんボディガードも兼ねている」

 アナンは両手を広げる。ボディガードとは、何をこの小娘が言っているのかと言うところだろう。

 日本人の二人はタイ語だとまったく意味が分からない。

「まずはホテルに行きましょう」西園寺が言う。

 ぞろぞろと反社の団体さんが歩き出す。

 ジラワットは真加部に興味があるようで、彼女の横にぴったりと付く。

「真加部はいくつだ?」

「阿礼でいいぞ。23歳だ」

「え、23歳なのか、日本人は若く見えるな」

「そうか、俺は童顔だからな」

「なるほど」

 一行は西園寺側が用意したキャデラック・エスカレードでホテルに向かった。

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