エピローグ
真加部が神と会って、それから一月後に神は天に召された。これはまさしく本当の神様の意思だったのかもしれない。
真加部とパクは新井薬師前にある隠れた名店、町中華の『双葉』に来ていた。
「パク、悪いな」
「いいってことよ。こんな時ぐらいおごるよ」
880円のラーメンを珍しくパクがおごってくれた。
ラーメンをすすりながら、パクが言う。
「人殺しはしなくて済んだのか?」
同じくラーメンをすすって真加部が答える。
「もちろんだ」
「ミンヤーを撃ったんだろ」
「あれはH&Kのスムースボアバレルを使ったんだ。弾丸はプラスチック製の非致死弾だ。ミンヤーの急所に当てて気絶させた」
スムースボアバレルとは旋条、螺旋状の溝が刻まれていない銃身で、暴徒鎮圧用に特殊弾を使用するものだ。真加部はさらに特殊な弾丸を使用したのだ。致命傷にはならないが、倒すことは可能だ。弾丸は体内に入り、治療は必要になる。
「それで?」
「ブラックスワンのビルに依頼した。今、ミンヤーはアメリカにいる。ブラックスワンも人手が足りない」
「ブラックスワンで働くのか?中国側は大丈夫なのか?」
「そこはブラックスワンだよ。ミンヤーは死んだことになってる」
「そうか、やるな」
真加部はなるとを食べる。
「やっぱラーメンにはなるとだな」
パクは笑う。
「阿礼、それで遺伝子改編についてはどうなるんだ?」
「ああ、神から研究内容について色々聞いたんだが、俺の頭では理解不能だったよ。それとあれをやるには量子干渉機が必要なんだ。神はそれを捨ててしまったから、もう無理だな」
「なんか、もったいない気がするな」
「俺が勉強すればわかるかもしれない」
「まじか?」
「まじだ。なにせ俺は神の遺伝子を継いでるからな」
「なるほど、人見知りも引き継いでるしな」
真加部はふんっと鼻で笑う。
「神の遺骨はどうしたんだ?」
「ああ、神の遺言で畑に撒いてほしいそうだ。だから円谷さんにお願いして彼の農場に撒いたよ」
「そうか、なんか阿礼の親父らしいな」
真加部が笑う。
唐突に双葉の引き戸が開く。
西城と駒込の名コンビが入ってきた。
真加部を見つけた西城が叫ぶ。
「おお、阿礼、生きてたか?」
「当たり前だ」
「一カ月も留守にするから、もう死んだかと思ったぞ」
「俺が死ぬわけないだろ」
二人が真加部の横の席に座る。
「でも、まあよかった。お前が無事ならそれでいい」
「ああ、これからもなんでも引き受けるぞ」
「そうか、よろしくな」
「まかせとけ、何せ俺の成功率は100%だからな」
最終章が終わりました。最後まで章設定がよくわからなかった。




