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2.働いたら負け

いや、面倒くさいな…

お姉ちゃんを探すって、何かよっぽどの事情ありって感じだよな…

きっと、この世界に来たばかりで何の能力も持たない俺よりも適任が他にいるはずだ。

うん、そうに違いない。


「ねえ、聞こえてなかったの?」少女が言う。


「ううん、ちゃんと聞こえたよ。」


「あのね、2人で街でお買い物してて、私がはぐれちゃって……

だからね、お願い。お姉ちゃん探すの手伝って?」


「ごめん嫌だ。」


「ありがとう!!私1人じゃ探せなくて、お姉ちゃんいなくて心細くて・・・って、え?」

少女が目を丸くする。


「お兄ちゃんも色々忙しくて大変だからさ、

他の人にお願いしてもらいな。」

俺はベンチを立って軽くズボンの尻を払いながら言う。


「え、え、え・・・?」

少女はなお混乱している様子。


「じゃあ、そういうことだから。」

俺は少女に手を振り、その場から立ち去ろうとする。


「ちょっと待って!!」

少女は大声で俺を呼び止める。

「なんでこんな可愛くてか弱い私のお願いを聞かないの!?」


まあ、確かに幼い女の子という意味で可愛いけど…

それ自分で言うか?あー、めんどくせえ。


「ごめんね、お兄ちゃんやらなきゃいけないことがいっぱいあるんだ。」

そう言い残し、俺は少女を置き去りにしていった。


ちょっと酷い対応取りすぎたかなあ……


実際、俺にはやらなきゃいけないことがある。

当分生きていけるだけのお金を稼いだり、住まいを確保したり、課題は山積みだ。


逡巡しながら街中を歩いていると、なんだか困った様子の美人なお姉さんが目に留まった。


「どなたか、妹を探してくださいませんか!」

お姉さんは何度もそう助けを求めているが、通行人は見て見ぬ振りだ。

もちろん俺も……と、思ったが。


ふむ、妹か……。


「すみません。その妹って、どんな容姿の子ですか?」俺はお姉さんに声をかけた。

「これくらいの、まだ小さい女の子なんです…」

と、お姉さんは自分の腰あたりを手で合わせた。


やっぱりか…さっきの子で間違いなさそうだ。


「その子に心当たりがあります。」

「本当ですか!?」

お姉さんは嬉しそうに喜んでいる。

「はい。ですが、居場所を教える代わりに、先に謝礼の方をいただけませんかね?」

自分のクズっぷりが嫌になるなあ。

日銭を稼ぐためだ、致し方ない。

「わかりました…」

俺は5000Gを手に入れた。さっき街を練り歩いて店を見て回った感じ、この世界での貨幣価値は、元の世界での日本円とほぼ同じだと考えてよさそうだ。

つまり、俺の現在の所持金は5000円である。

とりあえず、今日を生き抜くことができるだろう。


「ありがとうございます。では、妹の居場所をお教えしますね。」

そう言って、俺は先ほどの女の子と出会った場所をお姉さんに伝えた。


「妹を見つけてくださり、本当にありがとうございました!」

「いえいえ、こちらこそ。」


いや、本当に感謝したいのはこっちだ…今日を生きる分のお金を貰えたんだから。


そして、俺はお姉さんと別れた。

1人になると余計に自責の念に駆られる……


さて、何はともあれお金を手に入れられた。

もうすっかり夜だ。

本日のディナー探しと行こうじゃないか。

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