プロローグ
「─ここは?」
青年が目覚めた。青年は服を着て横たわっていた。真っ白な部屋に。
「起きたか。ガキんちょ。」
声のする方を振り向いてみると、男が胡座をかいて座っていた。酒を飲みながら。
「ここは、どこですか?」
「知らねえよ。」
「いつから僕はいましたか?」
「さっきだ。とは言っても、明確な時間は分からん。時計がないからな。ただ、この部屋の中では腹は減らんらしい。喉も渇かない。だが望むものは出てきた。女は出てこなかったがな。」
「ここはどういう部屋ですか?」
「言うより見た方が早いだろ。おい、説明書。」
男がそう言うと、空間に文字が現れた。
“一人入ったら、一人出られる。一人死んだら、一人出られる。この部屋にいる時間、現実では同じ時間がすぎて行き、その間誰もあなたのことを覚えちゃいない。一人出るには、出る者・残る者双方の宣言が必要である。”
「一人入ったら、一人出られる…」
「そういうことだ。まあ俺もずっとここにいる訳じゃない。さっきはよく分からんリーマンといた。そいつが言うには、先にいた者が出て、後に来た者が残ると言う風に大分前に決まったんだとよ。」
「そうなんですか。」
「まあ、そういうことで、俺は出る。おまえもすぐに出られるだろ。宣言を頼む。」
「…はい、わかりました。」
「俺は出るぞ!!」
「僕は残ります!!」
そう言って数秒経つと、男はふっと消えた。
そうして、部屋からは一人が出て、一人が残った。
独り残った部屋で、青年は何かを考えていた。
「え?どこここ?」
真っ白な部屋で、制服姿の学生が目を覚ました。
「起きましたか。」
青年が声をかける。
「どこですか?ここは。」
「僕にも分からないです。ただ、出られないと言うわけではないかな。すみません、説明書をお願いします。」
説明書が出現する。学生が説明書を読み終わると説明書はふっと消えた。
「なにこれ…?」
「書いてある通りです。僕もあんまりよくわからないんだけど、さっき君が目を覚ましてないうちに色々喚いたらどうも説明書って言葉に反応して出てきたみたいで。読み終わったら消えちゃったんですけど、もう一度説明書って言っても出てこなかったから一人一回しか読めないみたいです。僕が目を覚ました時には君もいたので、先にいた君から出るべきです。さ、宣言を。」
「え…あ、はい」
「僕は残ります!!」
「じ、自分は出ます!!」
「…あれ、一人入ったら一人出られるってことは、貴方が先にいたんじ
学生はふっと消えた。