決意、スラックスは涙に濡れて
全年齢にUPできるのではないかとも思ったのですが、社会性を発揮してR15としました。
よろしくお目こぼしください。
ズボンの中のものが、屹立しようと怒っていた。
わたしは、ひだりポケットに指を入れて、彼を慰める。
もう少しだ、辛抱してくれ。
彼の瞳に泪が滲む。わたしは彼のためにもと思い、慰めるのを止め、ポケットの中の左手を外に出すと、両手でキーボードを叩く。
タタタッ、タタタッ
身体のうちで滾るマグマのエネルギーで、執筆中の成人用小説を書き上げた。
「待たせたな」
私は彼に声をかけ、スラックスのチャックを引き下ろした。
わたしは数日前から、ネット空間の片隅で官能小説を書き始めた。自分の内面を知らないものは、突然はじめたように見えただろうけれど、構想しているのは長い間寝かせていたものだ。漫画にしようと考えていたものを、一向に画力も環境も向上しないのに痺れを切らせ、とりあえず、小説として形にしようと決意したのだった。それだって、決意してからずいぶん経ってのはじまりだった。
ようやく書き上げた第一話。5分置きに、マイページを除き、作品のPVを確認する。この数字はもしかしたら、すべて自分の閲覧なのではないか、そんな不安も湧いてくる。何時間か経って、ようやくひとつイイねがついた。自分の性癖に共感してくれた人の存在に、嬉しさと共に感謝の気持ちが湧いてくる。
しかし、その後は何の反応もなく、時間だけが過ぎていった。
わたしは、誰しもが思うように、もっともっと反応があるのだと思っていた。100万とはいわないが、100くらいのイイねなど、秒で得られると信じていた。
スラックスの中で、わたしの承認欲求モンスター(CV:関 智一)が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!
わたしは、いつか自分の性癖が書籍化され、更にAV原作になるのを夢見て、他人の人気作を読んだり、創作本を開いたりと、真っ当な努力をすることを心に決めた。そもそも、わたしはネット小説を読んだことがなかったのだ。素人の性器を握りながら作られた文章など、読むに値しない。自分のことを差し置いて、わたしはそう思っていた。
好きな成人向け映像作品は、マジックミラー張りの車の中でJKがディルドーに跨るやつです。