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黒の空が明けるまで  作者: Alice
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当主リテルシア・チェーロ【後編】

【後編】

【12人目】


1ヶ月というのはあっという間に過ぎていき、帝都へと向かう日となった。

リテルシアと共に行くのは専属のメイドゆづきと護衛にアシル、帝都に用があるからとノアも同行する。


屋敷の事はオリヴィアに任せる。彼女も元は伯爵令嬢、貴族階級の業務は1番理解がある。そのサポートにレベッカとアスタリシアが残る。


ネアルとレヴィツキーはお互いの薬学知識の共有の為レヴィが調合師時代に使っていた薬草小屋へと朝から出かけている。

シャルロッテは体格が小柄なのを気にして大きい武器を選んだフェリオの戦闘稽古をつけていた。


ブレアはノアから狙う人はいなくなったと聞いても未だ外に出る気はないらしい。



馬車で3日かけて帝都に着くと、ノアは別行動をすると別れた。3人はそのまま城へと向かう。馬車の整備にアシルが残るため、城に入ったのはリテルシアとゆづきの2人だった。


城に入ると、赤い髪の青年が「ルルは元気か?そっちにいると聞いたが」と話しかけて来た。

リテルシアは「怒っていると思っていました。彼女は元気ですよ」と答える。

彼はあれは兄上が悪いから、ルルが元気なら良かったと笑いながら言った。


話しながら王の元へ向かっていると、彼の従者が走ってきた。「探しましたよ。アギルム殿下、予定が押しています。急ぎ執務室へ」といい、彼の背中を押していく。

首だけ後ろを向き「数年前の社交会が最後だったからな、リティに久々に会えて良かった。この後少しだけ話がある。また後でな。」と言いながら進んでいく。

リテルシアはお辞儀をしながら「わかりました。ルゥ。」と返事をする。


王のいる部屋の前につき、扉を開ける。中には多くの貴族や大臣達が揃っていた。中央を堂々と歩きゆづきが少し後ろに続く。

王の前につくと膝をつき頭を下げる。

「イギド陛下に忠誠を。リテルシア・チェーロ、ただいま到着致しました。」


王イギドは玉座から立ち上がり、「頭をあげよ。そなたと、そなたの父スコルドの活躍を耳にした。長く続いた戦争を終息したこと感謝する。それと同時に帝国軍を出すのが遅くなったこと深くお詫びする。」と頭を下げる。


ほかの貴族がザワつく中、リテルシアは「イギド陛下。我が父は謝られる為に命をかけたのではありません。父は父が想うものを守る事に命をかけたのです。ですので、死して謝られることは望みません。どうか頭をおあげ下さい。」と言うと王は頭をあげ、玉座に座る。「そう言って貰えると助かる。我が国民を守ってくれたこと感謝している事を伝えたかったのだ。授与式を行う。チェーロ領の領主の代替わり、また辺境伯の地位継承をリテルシア・チェーロへと行う事をここに宣言する。」といった。


「謹んでお受けいたします。この命尽きるまで帝国の為、帝国の刃となることを誓います」

と立ち上がり、スカートをもって一礼した。



無事に継承が済み、領地へと戻る為馬車へと向かう。そこでアギルムと合流した。彼は広場で行われる公開処刑の子を助けて欲しいと願った。帝都ではもう住むことが出来ないから連れて行って欲しい、彼女は国のいざこざに巻き込まれただけの被害者だからと。


広場に向かうと、既に処刑は始まっていた。処刑台にいたのは首に枷をつけ膝をつけた女性。罪状は国の要人の護衛でありながら、守りきれず死なせてしまったこと。

女性は生きるのを諦め目を瞑る。

罪状を読み上げ処刑人が刀を振り上げて


おろす


キィンと音が響いた


降ろされた刀をゆづきが止め、リテルシアは台へとあがる。

「この罪人、買い取らせてもらいます。」といい枷を切り落とす。突然縛る枷が無くなった女性は驚き、リテルシアを見つめる。

処刑人も驚き、固まってしまうが直ぐに役割を思い出し口を開く。

「どこの誰だか知らないが、死刑囚を返して貰おうか」と刀を構える。周りの憲兵もやってきてリテルシアに刀を向ける。

ゆづきは顔を顰めて鉄扇を出そうとしたが、リテルシアは腕を横にだし止める。


憲兵が号令をかけようとした時、王族の馬車が広場につき誰かが降りてくる。

「なんの騒ぎだ」といって降りてきたのは第2王子のアギルムだ。


処刑人が事の経緯を説明すると、「彼女は貴族である。彼女が購入した商品には口出し出来まい。罪人への処罰は今後この帝都に入らない事とする。直ぐに連れて行け。憲兵達は刀をおさめろ。」

といい、馬車へと戻る。


処刑人は驚いたが、王族の命令ならばと刀をおさめた。


女性を馬車に乗せ、2重門へと向かう。その途中でノアが乗り込んできた。

門を出て少し走るとアギルムが立っていた。


「願い聞いてくれてありがとう。リティ、助かった。それと、スゥリン。国の問題に巻き込んでしまい申し訳ない。助けるのが遅くなってしまった。これより先、自由に生きる手もあるがどうする?」と聞いてきた。

「私の命は彼処で終わるはずでした。助けていただいた事に感謝し貴女様に仕えたいと思います。どうかこのまま雇っては頂けませんか」

と頭を下げてきた。


リテルシアは「乗りかかった船ですから構いません、チェーロ家は人手も足りませんし。リテルシア・チェーロと申します。リティと一緒に行きましょう」と手を差しのべた。

「性はありません。スゥリンと申します。剣術養成所の首席で卒業し、数年間護衛として勤めて参りました。前の主人をお守り出来なかった分、リティお嬢の事命をかけてお守り致します。」と手を取り握った。



屋敷に帰ると出迎えてくれたフェリオをだきしてめ頭を撫でる。そして、メイドが1人増えたことを説明すると、レヴィはまた拾って来たのかと呆れ顔をした。

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