当主リテルシア・チェーロ【中編】
【中編】
【7人目,8人目,9人目そして10人目,11人目】
それから数日後、リテルシア達は山奥にある小屋に住んでいた。今回の被害情報をまとめると、領地に被害はなかったが、チェーロ家は屋敷の生き残り5人、情報集めの為離れていた2人、スコルドが逃した3人の10人だけだった。
スコルドと別れた場所を境に何も被害が出ていない。
火事の残骸の中にスコルドの持っていた大刀があったそうだ。
元々、リテルシアに仕えていたゆづき、アスタリシア、ノア、フェリオ、シャルロッテ、ブレアはチェーロ継ぐことを決めたリテルシアについて行くといった。
チェーロ家に仕えていた3人はそれぞれの意思でリテルシアについて行くことを決めた。
アシルは膝をついて「屋敷に戻った時からおじょー様が当主であり、主人です。俺はおじょー様について行きます」と宣言した。
それに続けて「俺はお嬢様の主治医だからついて行くさ」とレヴィツキーが言った。
少し時間をあけて「あの火事でヴィア様をお連れすることが出来ませんでした。今までヴィア様にさせて頂いていたように、どうかお嬢様を着飾らせて欲しいです。」とネアルが言った。
チェーロ家の復興に専念し忙しい日々がつづいた。
そんなある日、帝国軍が隣国を押さえ込み隣国も帝国に属することが決まったそうだ。
隣国の名はリアマーレは元々、帝国スカーリアと1つの国だったそうだ。大昔に、双子の王子が誕生したのが始まり。どちらが兄か分からないまま2人は大人になり、やがて王権争いが起きた。
双子の名前はスカウとマウレ、国民を愛し争いを嫌い2人で王をすると言った。しかし周囲はそれを許してはくれなかった。だから2人は別々の国家を築き、周りの領地はついて行くものや独立するものが現れ、大陸内に2つの国といくつもの小国に別れた。
そんな双子の思いも王が変わる事に変化していった。とある王が言ったのだ。「元々ひとつだったのだ。元の形に戻すべきなのだ」と。それから長い間続く領土の奪い合いの戦争が始まった。
戦に敗北したリアマーレはスカーリアとひとつとなり、チェーロ領の管轄で扱われることとなった。
長く続いた戦争は戦鬼の魂をもって終止符とされたのだ。
辺境伯当主としての地位を正式に授与するため、ひと月後に帝都に行くことが決まった。王に謁見し授与してもらうのだ。
国境が無くなり大きな仕事も無くなったが、それでも帝国を守る刀となるために戦闘訓練は続けていた。
森の復興、リアマーレの国民の管理と忙しい日々を過ごしていたある日、住んでいる小屋の入口を叩くものが居た。
ドアを開けるとそこにはオリヴィアとレベッカがいた。
「探しましたわ、リティ!貴女が働き手を探していると聞きましたの。このルルが貴女の為に働いてあげますわ!」と来たのだ。
伯爵の娘が辺境伯のそれも、血で汚れた家のメイドになるなんてと言うとレベッカが「オリヴィア様に伯爵の地位はないですよ。少々トラブルがありまして破門となってます。」と言った。
「そういうことよ!」と仁王立ちになった。
リテルシアは「久々にルルに会えて嬉しいです。是非よろしくお願いします」と手を握った。