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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする  作者: いちかわ
互いを互いで守るために
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第85話 酒場のメイド?

「最後はエルだねー!」

「そうか、俺もやるのか」

「あはは、自分だけやらないと思っていたのかい?」

「そういうカレットとザックもやっていないじゃないか」

「私たちのやることはメアリスあんまり変わらないからねー。メアリスみたいに創造することは出来ないけど!」

「まぁそういう事だから僕たちは遠慮しておくよ。あはは」

「分かった、それじゃあ最後に俺が話すよ」


俺は二人に促される形で話を始める。


「えーっと……そうだな。俺は魔法剣士という特殊な戦闘スタイルで……武器に属性付きの魔力を付与することができる。魔法を付与することも試してみたんだが、武器が耐えられなくてな。魔力の込められる量にも限界があって、一定以上の魔力を入れると武器が壊れてしまうんだ」

「あのすごい攻撃にはそんな弱点があるんだねー」

「少ない魔力を込めて武器に留める『残留』、残留させたものを刃状にして連続発射させる『連打』。あとはさっき言った一定以上の魔力を込めて一気に放出する『解放』なんかもある。ただこれに関しては武器に負担がかかり過ぎるから乱発はできない」

「質問。なぜ一定以上の魔力を込めて壊れない?」

「魔力を込めると同時に魔力が外に漏れ出ていて、使用する時間もかなり短いからだと思う」

「なるほど。」

「あとは弱点か…………強いて言うなら大きくて耐久力のある奴かな。正直かなりの魔法が使えるとはいえみんなと比べるとかなり火力不足だし……メインの武器が短剣だからリーチも短い」

「他にはないんか?」

「そうだな、もう無いかな」


まぁ正直リーチに関しては魔法で補えるんだが…………


魔法耐性の高い敵には攻撃が通らないし、唯一の物理攻撃手段が短剣のみというのも少し心許ないかもしれない。


「……とりあえず、これで一通り全員の戦闘スタイルなんかを把握できたな」

「うんうん! これで作戦とかが立てやすくなったんじゃないかな?」

『フハハ! まぁわがはいには作戦など必要ないのだがな!』

「アナ、油断は禁物やで?」

「メディアス。アナは知能が低いからそんなこと理解できない。」

「あー、ホンマや。アナ、堪忍な」

『失礼すぎるのだ!?』

「あはは……」


やっぱり、このパーティはいつも笑顔で満ちているな。

俺が……いや、全員でこの笑顔を守っていきたい。


今回改めて、そんな風に思った。



--------------------



「バトラー、すぐに店を出す準備をしてちょうだい」


バトラーと呼ばれた女性はその言葉を聞き、驚いた表情を浮かべる。


「はい、かしこまりました」


しかし、その顔をすぐに修正して素早く準備に取り掛かり始めた。


「フフフ……一体何年ぶりなのかしら…………まっていましたわよ、───さん♪」


少女は人差し指をペロリと舐め、顔に笑顔を浮かべた。



--------------------



「閃光の刃・連打!」


そう叫べば、光の魔力が短剣に充填される。

俺がその短剣を振ってやれば、光り輝く刃は魔物の首にまっすぐ飛んでいき、一撃で撥ね飛ばす。


「エル、やるぅ!」

「みんなと張り合うなら、これくらいはできないとな!」


魔物の数は……あと三体か。

俺は短剣に残っている魔力で斬撃を飛ばそうとすると……


「エイブルトリック」


静かで冷たい声が響き、三体の魔物にレイピアが突き刺さり、その姿を魔石に変えた。


なんだ……?

今、何も無いところから…………


かなり正確で、かつ威力の高い技だ。


「非常に恐縮ながら、助太刀させていただきました。お怪我はありませんか?」


物陰から美しい銀髪の女性が現れる。

ワンピースのようにかわいらしい服だが、そのスカートは非常に短い。

戦闘のために動きやすくしているのだろう。


「あ、大丈夫です。助太刀ありがとうございます」


突然のことに驚いたが、悪い人ではなさそうだ。

みんなもその女性のことを悪い人だと見ていないのか、一度警戒を解いている。


「今、なんにもないところから剣が出てきたよー?」

「あれはわたくしの魔術によるものです。とても便利なので普段から使っているんですよ」

『普段からレイピアを突き刺しているということなのだ……?』

「そんなわけない。多分今の魔術は空間系統魔術。」

「よくご存知ですね。それはそうと……みなさんはこのようなところでなにをしているのですか? ここにいるわたくしが言うのもなんですが…………」

「俺たちはシャイレーツ海に行きたくて……そのためにここを通っています」

「シャイレーツ海ですか。ということは一度マリエスタで船を調達するということでしょうか?」

「あ……」


俺の間の抜けた声と表情を聞き、みんなの視線が集まる。


「…………エル、もしかしてだけど…………海に行くのに何も考えてなかったの……?」

「あー……ごめん、移動手段のことすっかり頭から抜けてたよ」

「嘘やん……エルって変なとこ抜けとるなぁ」

「普段はかっこいいのにね」

「冗談はよしてくれ」


そんな俺たちを見て女性はニコッとする。


「良い伝手があります。もう暗いですし、今夜はそこに泊まっていきませんか?」

「え? 泊まっていく……? 近くに家があったりするんですか?」

「いいえ。近くにあるのはお嬢様の情報屋兼酒場……晩杯屋です」

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