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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする (打ち切り)  作者: いちかわ
冒険者の使命~スタンピード~
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第80話 強さ

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」」

「嘘でしょ? ちょっと待って解散ってつまりキャンディってことだよね?」

「何言うとるんやメアリス、解散ってことはのど飴やろ?」

「二人とも違う。とりあえず落ち着いてキャンディを粉々に噛み砕いて……」

「ちょ、ちょっと待ってくれみんな」

「「こっちのセリフだよ!!?(こっちのセリフなんやけど!!?)」」

「説明を求める。」

「いや、その……俺はパーティを解散しようと()()()()()って言ったんだけど…………」


………………


これ以上ない沈黙が部屋を包む。

そんな沈黙の中、メアリスが俺の手に手を重ねる。


「メアリス?」

「……多分、多分なんだけど…………私のせいだよね……?」

「そんなわけ……」

「ううん。エルは分かりやすいもん。絶対そう」

「…………そう思ったきっかけは……メアリスだな……」

「ふふ、やっぱり。エルは優しいもんね。火に怖がる私を見て、無理してついてこなくていい、みたいなこと考えてたんでしょ?」


……!


メアリスは俺の考えていたことをピタリと言い当てる。

恐らく今俺の目は丸くなっているだろう。


「これも当たりだね♪ やっぱりエルは分かりやすいね♪」

「……そんなに分かりやすいか?」

「うん、すっっっっごく」


参ったな…………

少しポーカーフェイスを練習した方がいいのかもしれない。


「でも、そこがいいところだからそのままでいてほしいな」

「……ありがとう」

「……あー……ほんで、解散しようと思っていたことについて詳しく話してくれるんやろ?」

「話してほしい。」

『自分の口で話すのだ』

「……分かった」


俺はしばらく頭で言葉をまとめ、口を開く。


「俺は……あの巨大ラフレシャーラと戦って、仲間というものがどれだけ大きなものか、そして……大切なものだということを改めて痛感したんだ…………その仲間であるメアリスのことをあの戦いで危険に曝してしまった……」

「……エル…………」

「あの時の恐怖は簡単に拭えるものじゃない…………もしブローチがなかったら、メアリスが……死んでしまっていたんだ…………このまま俺の旅についてきたら本当に……」

「エル。何となく分かった。その上で、私の話を聞いて?」


メアリスは俺の手を更にぎゅうっと握り、慈愛に満ちた表情で俺を見る。


「私、エルのためなら死んでも後悔しないよ。もちろん家族と仲間(家族)を置いて死ぬ気はないけど……あんな強い奴との戦いで私を……みんなを完璧に守るなんて不可能だよ」

「だとしても……」

「エル。私たちは全員自分の意思でエルの仲間なんだよ? 仲間(家族)なんだよ?」

「それは……」

「一人でみんなを守ることはできなくても、みんなでみんなを守ることはできるでしょ?」

「同意。エルはなんでも一人でしようとしすぎ。」

「一人でできることなんてこれっぽっちもないんや。もっとうちらを頼ってくれてもいいんとちゃう?」

『むしろ、一人で全てやろうとするのはおこがましいとさえ言えるのだ。貴様が持っているのはなんなのだ? 心強い仲間ではないのか?』

「みんな……」


…………アナの言う通りだった。

俺は仲間を失う恐怖で盲目的になり過ぎていたんだ。


みんなは……こんなにも強いのに…………

俺はなんて……


「いだぁっ!?」

『またバカなことを考えていたのだ。鉄拳制裁なのだ』

「アナ。やりすぎ。」


ベルが袖をまくってアナに詰め寄る。


『え、ちょま、や、やめるのだぁぁぁぁ!!!?』

「鉄拳制裁なのだ。」



--------------------



あれから数秒後、アナはベルの鉄拳制裁(?)を受けた。


『な…………なのっ…………だ…………』

「……ふぅ。鉄拳制裁完了。」

「えっと……鉄拳ってなんだっけ……?」

「気にしない。……やり方はともかく。アナの言う通り。エルは今バカなことを考えていた。」

「うっ……」

「エルは強い。ものすごく。ベルたちが一番知っている。」

「え?」

「ふふふ、だよねー。そうじゃなきゃ私たちここにいないもんね」

「せやせや、その強さがなければうちらは今頃エルにはついてきておらへんかったやろなぁ」

『で、出会うことすらなかったかも……なの……だ……』

「生きてたんだ。」

『勝手に殺すななのだ!?』

「ははっ」


こんな時だけど、思わず笑いが溢れてしまう。

やっぱり……みんなはいつでもこうだな。


「みんな……ありがとう」

「あったりまえじゃーん! リーダーを支えるのが私たちの役目だし!」

「そこまで思い詰めていたエルに気づかなかった。ベルたちにも責任がある。」

「その強さがある限り、うちらはずっとあんたについていくで」

『その強さ、忘れるでないのだ。まぁ、鈍感なエルは全く分かっていなそうだがなのだ、ガハハ』

「そうだな、でもそれは、その強さは……自分で見つけたいと思う」

『うむ、それがよいのだ。だが、わがはいたちは自覚せずとも貴様はそう在り続けると確信しているのだぞ』


俺の間違った選択は暖かい仲間たちによって正された。

たとえ俺がこの先間違えようと、必ず助けてくれる。

なら、俺もそうならないとな。

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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