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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする (打ち切り)  作者: いちかわ
冒険者の使命~スタンピード~
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第72話 誤算

第二チームのミレーユさんの転移魔法でスペリラに戻った俺たちは次の交代に備えるため、武器の手入れや仮眠をするなどして休憩していた。


アナベルコンビとミレーユさんは勢いの上がったスタンピードの中でも、魔物を何人たりとも近づかせることなく殲滅している。


冒険者も騎士団も第二チームに強者が多いため、苦戦はしながらもベルたちが撃ち漏らした魔物を倒している。


「「汝は我、我は汝。我らを命在る者とした神に祝福の花を贈ろう。神聖なる花(ハナビ)!」」


金色に輝く花火があちこちで炸裂。

魔物たちはその光にあてられ、天に召される。


「フィニクスブラスト・チェイン・アビスティックバースト・チェイン・ヘルアースクエイクッッ!!」


不死鳥のごとき炎が、深淵に迫るほどの漆黒が、地獄と見間違うほどの災厄が合わさる。


漆黒の不死鳥は全てを深淵に堕とし、炎で悪しきを滅する。

たとえそれから逃れられたとしても、天罰かのように地面から突き出る宝石が、鏡のように己の罪を映し出す。


……なんだ?

俺は今神話を見ているのか?


ベルとアナの魔法もすごい……いや、すごいなどという言葉で表せないほどに凄まじい魔法だ。

なのに、ミレーユさんの魔法は更にその上をいく。


「……ともあれ、そのおかげでスペリラに被害が出ていないし……今は気にしないことにしよう」



◇◇◇◇◇



「クフフ……今頃あの街は崩壊しているころですかね」


エルたちがスタンピードを抑えているその時、形容しがたいほどの闇の中で、男は笑いを堪えていた。


「かなり良い誤算です……通常よりも強力なスタンピードが生まれた……! このスタンピードで彼ら全員を始末することも不可能では無いでしょう! クフフフフフ!」


男の言うことは確かだ。

このスタンピードは通常よりも強力なものであり、エルたちがいようとスペリラが崩壊することは決定事項であった。


……しかし、男は気付いていないが、イレギュラーはもう一つ……いや、()()()()()()()()



◇◇◇◇◇



「フハハハハ! 妾の魔法で朽ちるがいいわっ!!」


魔法使いとは思えないほどのスタミナで、ミレーユさんは獅子奮迅の活躍を見せている。

……いや、ミレーユさんは魔女だったな。


こんな時にだが、魔法使いと魔女の違いがもっと知りたくなってきた。

ここまでの強さを見せつけられては気になるのも当然だ……そう自分に言い聞かせる。


『エル。聞こえる?』


ベルの声が頭に響く。

突然のことに驚きつつも、冷静に話を聞く体勢をとる。


『どうした?』

『魔物の硬さランクが上がった。上級魔法一撃ではやれない。』


ベルの上級魔法一撃でやられないレベルの魔物……B~Aランクくらいだろう。


複数来ているなら俺が出た方がいいかもしれないな。

そう考えて俺はベルにその魔物の数を尋ねる。


『数は?』

『今来てる魔物全部そんな感じ。』

『なっ……!?』


俺は慌てて戦場を見回す。

遠くて魔物の種類までは分からないが、かなりの数がいる。

騎士団も冒険者も、ベルとミレーユさんの撃ち漏らした魔物にかなり苦戦している。


つい先程起きたばかりでうまく頭が動いていなかったが、一気に目が覚めた。


『でも攻撃力は大したことない。でもちょっとだけ上がってるかも。』

『メアリスとメディアスとクロイツも起こした方がいいか!?』

『うん。詳しくは後で言うけど。一気に叩いて戦いを終わらせた方がいい。』

『了解、すぐ行く!』


今回の作戦は籠城戦だったが……ベルが急いだ方がいいと言うのだからそうなのだろう。

状況に応じて作戦を変えることも必要だ。

精霊族であるベルが提案した作戦ならばギルドも動くはずだ。


俺はメディアスに渡された眠気覚ましを飲み干し、三人を起こしに行く。



--------------------



「アナ、ベル、ミレーユさん!」

「思ったより早かった。」

「む? エルではないか。もう交代かの?」

「えーっと……」

「全員集まったから今説明する。よく聞いて。」


俺たちは迫る魔物を捌きながらベルの話に耳を傾ける。


「多分。魔物が一気に強くなったのは。後ろにいるおっきい魔力の塊のせい。」

「大きい魔力……?」

「多分魔物。魔道具の類ではない。魔物のことはよく知らない。でもベルは後ろに他の魔物を強化する魔物がいると推測する。」

「それはなんでだ?」

「うーん……結構前の話。ベルたちは魔物の突然変異種を倒してギルドに魔石を提出した。」

「私が助け舟を出した時のことですよね?」


ベルはコクリと頷き、話を続ける。


「おそらくあれはその魔物に強化されていた。今戦ってる魔物と似た感じのなにかを感じた。」

「……つまり、この……すたんぴーど? はその時から始まっていたの?」

「分からない。でも遠くの魔力の塊が魔物を強化をしているのは確か……だと思う。」

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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