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第58話 目覚め

「……ん?」


目が覚めると、うちは知らん天井が視界に入った。

横に視線を向けると椅子に座って寝ているクロイツがおる…………

この木の香りとかクロイツがおることで察するに……ここはクロイツの家やな。

そういえばうち……なにしてたんやっけ?


クロイツママの治療して……


「……はっ!? クロイツママはどうなったんや!?」

「……あれ? いつの間にか寝て…………! メディアスさん!!」


クロイツはうちを見るなり嬉しそうに抱きついてきた。

ちょ……タンマ……これめっちゃ恥ずいわ…………

きっと今うちの顔は真っ赤や。


「クロイツ……一旦離れてくれんか……?」

「あ……はい、すいません……今離れますね」


クロイツはうちの言葉を聞いて素直に離れてくれはった。

あのままやったらうちは恥ずすぎて茹でダココースやったわ……


「どこか悪いところなどはありませんか? お水はいります?」

「悪いとこはないで。お水はほしいわ」

「そうですか、それならよかったです。今コップにお水を入れますね」


クロイツは手のひらをくるりと回す。

すると、そこから球体の水が出現した。

水球はコップに落ちてトプンという音を立てる。


「はい、お水です」

「おおきに!」


メディアスはクロイツからコップを受け取り、一気に喉に流し込んだ。

水を飲んで落ち着いたのか、慌てた様子はなくなっていた。

落ち着いた様子でメディアスはクロイツに気になっていたことを尋ねる。


「……クロイツママはどうなったんや?」

「あぁ、母なら──────」

「おお! 目覚めたのか!」


荒々しく扉を開ける音と共に、ショートヘアーのかわいらしい女の子がドタドタと入ってきた。


「妾の身体を治してくれたこと、礼を言うぞ」


女の子は無い胸を張ってそう言う。


「うちは薬屋として当然のことをしたまでやで。無事でホンマに良かったわ」

「その当然がすごいのじゃ。妾の力を持ってしても、アレを治すことは叶わなかった。誇ってよいぞ」

「ホンマ? それならうちは伝説の薬屋を名乗ってええよな?」

「うむ! 当然じゃ! この妾の病を治したのじゃ、光栄に思うがいい」


クロイツはそんな様子の母親を見てため息をこぼし、呆れた視線を向けた。


「母さん……メディアスさんは命の恩人なんですよ? 今くらいはその尊大な口調を……」

「まぁまぁクロイツや。そんな堅いこと言わんで祝いの酒でも飲もうではないか!」


女の子はクロイツの言葉を歯牙にもかけずにかっかっかと笑う。


「全く……あの、メディアスさん、母を助けてくれて……本当にありがとうございました」

「そ、そない何度もお礼言わんでええて……そろそろ恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうやし……クロイツママみたいに気楽にしててええんやで?」

「ほら! 本人もこう言っておるし、このままでいくのじゃ! 酒、酒を持ってくるのじゃー!!」

「はぁ……全く…………ふふ……」


クロイツは相変わらず呆れたような表情を浮かべているが、目にうっすらと涙を浮かべ、笑っていた。



--------------------



俺たちは交代制でメディアスのベッドについていようということになっていて、残りの俺たちは寝ていたのだが、ベルが突然目を覚まして


「事件の匂いがするぜー。」


などと意味の分からないことを言い出して俺たちを起こしてからメディアスの部屋に向かった。

俺たちもベルを追いかけ、メディアスの部屋に入るともう大騒ぎ。


当然心配していたので、メディアスがなだれ込むように来た俺たちに大丈夫なのかと質問攻めをされたり、目覚めているクロイツさんの母親を見て歓喜したり、その母親がどこからかお酒を持ってきて飲んだり……とにかく騒がしかった。


ひとしきり皆酔いが回りはじめ、盛り上がってきたことろ……


「あの病気(?)の正体はなんらったのー?」


一番酔いの回っているメアリスがお酒をグビグビ飲みながらクロイツさんの母親……ミレーユさんに質問した。


メアリスはもうすでに顔が赤い。

かなりお酒に弱そうだな。

……というか、絵画なのに酔うとかあるのか?


ミレーユさんはその質問を受けてコップのお酒を一気に飲み干す。


「んくっ、んくっ……ぷはぁ! ……アレの正体……のぉ……」

「ベルも気になるぜーぃ。くはーっ。」

「ベル……周りに合わせて酔ったフリをしなくてもいいんだぞ?」

「バレてた。」

「普段と違って無感情だったし、すぐ分かったよ」

「……。」


滅多に表情ひとつ動かさないベルが眉をピクリと動かした。

なにか気に触ることを言ってしまっただろうか……?


「ベル? あの……」

「……いや。なんでもない。」


そこで遮られてしまった。

怒っている様子はないし……大丈夫だろうか……?

ただ、少し顔が赤いような……?


「かっか、楽しそうじゃのぉ。酒の席はこうでなくてはな」

「母さん、それよりも病気の正体を早く教えてください~。私~、結構心配してたんですよ~?」

「お? やっぱりクロイツは酒を飲むと素が出るのぉ。かわいいやつじゃ」

「からかわないでくださいよ~、まだまだいけます……じゃなくて、病気の正体を教えてください~」

「急かすでないわ。今から話すところじゃ」


ミレーユさんはこほんと咳払いをし、初めて真面目な雰囲気になった。


「この病気の正体じゃが…………おそらく、魔族によるものじゃろうな。それも……」

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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