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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする (打ち切り)  作者: いちかわ
昆虫族の里~恩返しのために~
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第51話 かわいい守護者

「うう……邪魔っ!」


私はパレットナイフで迫り来る糸をどんどん切り裂いているのに……全然数が減らない!

むしろ増えてるんじゃあ……?


「ググッ……! ヨケ……ガッ!」

「チャンスとは言ったけど……あんまり変わってない?」


よくよく考えたら当たり前かも。

狙う相手が二人から一人になったんだし。

さっき放った銀製ナイフもほぼ消えちゃってる……


…………というか、あの子今…………避けてって……


「あっ、やばっ」


周りが糸で囲われる。

逃げ道はない。


今からじゃ迎撃も間に合わない……

やられっ……


「サーロソイル。」

「わっ!?───」


ベルの声が響くと、メアリスは地面に吸い込まれていき、糸は空を切る。

毒蜘蛛種は対象を失ったことにより混乱する。


「─────……ぶはっ! ありがとベル!」


しばらくして、メアリスが地面から顔を出す。


「当たり前。それよりメアリス。クロイツの良い作戦がある。」

「どんなの?」

「毒蜘蛛種の洗脳を解く。」

「確かにそれが出来たら…………あの子、きっと意思が残ってるよ!」

「ん。ベルも分かってる。そこでお願いがある。その洗脳的なのを解くためにメアリスには……。」

「───……なるほど! 了解だよ!」

「ベルは毒蜘蛛種を一旦抑える。エルとクロイツを回収してきて。」


メアリスはコクリと頷き、ザンティと戦っているエルとクロイツの元へ向かう。

メアリスが走れば数秒足らずで着く距離だ。


「二人とも! 心の準備は?」


メアリスが戦っているエルとクロイツに声をかける。


「俺はいけるぞ!」

「私も……いけます!」

「おっけー! それじゃ、また後でよろしくね!」


メアリスがブローチに力を込めると、エルとクロイツはブローチに吸い込まれていき、ザンティの鎌は空振る。


「なっ!? 何処へ……」

「ドロウ・インテリア!」


メアリスは大きな四角いテーブルを生み出し、手に持つ。


「ちょっと埋まっててねー!」

「ごぶっ!?」


テーブルをザンティに打ちつけ、ザンティが地面に埋まるまで拳で沈める。

メアリスはその隙にベルの元へ走る。


「ベル! エルとクロイツは避難した!」

「了解。ザンティは?」

「埋めたから無防備だよ!」

「……分かった。メアリス。ベルとアナがザンティを完全に動けなくする。そっちはよろしく。」

「おっけー!」

「フレス。」


ベルは飛行魔法でテーブルの下敷きとなっているザンティに接近した。


「ごぶっ!」


ちょうどそのタイミングで地中から脱出したザンティだったが、そこにはちょうど詠唱を終えたベル、そしてアナがいた。


「ディスペルチェーン・チェイン・ストレングスシール・チェイン・パラライズショック。」

『セイクリッドチェーンなのだ!』

「うっ……あ……力が……」


ザンティは魔法を封じる鎖に拘束され、能力が制限され、麻痺状態になり、アナの力が込められた鎖にがんじがらめにされてしまった。

ベルが時間をかけて詠唱し、神獣であるアナの力もあるので、原初の種(オリジン)とはいえすぐには動けない。


ベルはアナを頭に乗せてメアリスの方へ飛行し、無詠唱で魔法を放つ。

それによってメアリスを襲っていた糸の動きが数瞬止まる。


それのおかげでメアリスは余裕をもって攻撃を躱した。


「メアリス。おまたせ。」

「全然待ってないから大丈夫。それで、どうやって近づく?」

「アナにおまかせ。アナ。作戦をスムーズにするために念話。」

『わかったのだ!』

「わ! アナの声初めて聞いたかも! かわいい声だねー」

『う、うるさいのだ! わがはいは神獣なのだぞ!? かわいいなどむぎゅん』

「作戦中。私語禁止。」


ベルはアナの頭を殴りつける。


『い、痛いのだ……』

「ほら。あれ出して。」

『わ、分かったからもう叩かないでなのだ……』


ベルが指示すると、アナのハート柄の胸が輝きだした。

すると、そこから大量の青とピンクのハートが放たれる。


「このハートを渡っていく。近づいたらエルとクロイツをブローチから解放。メアリスとクロイツはタイミングを見てベルに魔力譲渡。エルは浄化魔法で少しでも毒蜘蛛種から邪悪なものを引き剥がす。おーけー?」

「合点承知之助だよ!」

『了解しました!』

『おっけーだ!』


作戦のおさらいをし、毒蜘蛛に向き合う。


「アナ。()()やるよ。準備。」

『分かったのだ!』


アナはベルの頭に乗り、それを確認したベルは飛行魔法の出力を上げて加速する。

メアリスはアナの出したハートの道を進み、毒蜘蛛種に接近していく。


「ガ……アァ! ……タス…………テ……ェ……」

「邪魔っ! どいて!」

「イグニートフレア。」

「火……いや、今はそれどころじゃない……!」


メアリスは走りながら大量のパレットナイフを投擲し、糸が進行の邪魔をするのを防ぐ。


ベルは避けられるものは避け、できないものは魔法で燃やし尽くす。


二人ともかなりの力を出しているので、この動きは長くは続かない。


そんな理由で長期戦ができない中、アナはひたすらに力を溜め込んでいた。


「アナ。チャージ時間は?」

『もういけるのだ!』

「了解。合図でよろしく。」

『イエッサーなのだ!』


まだ……もっと近づいて……まだ…………


……ここだ。


ベルは指をパチンと鳴らす。



──────ドゴオォォォォォォ



すると、特大の花火が毒蜘蛛種の目の前で炸裂した。

それを合図に三人が……いや、二人と一匹が動き出す。


守護者形態(ガーディアンモード)。起動。」

『わがはいの本気を見せてやるのだ!』


アナの身体が光り輝き、姿が変化していく。


「まっ、眩しい……!」


その輝きが収まると、そこには…………


「フハハハハハハ!! これぞわがはいの究極形態!」

「か、かわいい……」


上半身だけの鎧のような姿となったアナがそこに居た。

ピンクと青のその鎧はやはり元のアナと変わらず、胸に大きなハートの装飾がある。

中身はいないようなので、その鎧自体がアナということなのだろう。


「なんだと!? わがはいがかわいいだとなのだ!?」

「無駄口叩かない。合わせるよ。」

「エル、クロイツ! 出てきてっ!」

「「うおっ! (きゃあ!)」」


眩しい…………

だが、今はやらなければ!

メアリスのブローチの中で溜めておいた力を……一気に放つ!


「悪しき心を燃やし尽くせ! ホーリーフレア!」


簡易的な詠唱で、ベルとの契約で覚えた浄化の炎を放つ。

金色の炎は毒蜘蛛種を優しく、優しく包み込む。


「アぁ……ヴ、ヴァァァァァァァ!!」


最後の抵抗というように、一気に魔力を放出して炎を打ち消す。

しかし、作戦通りだ。


こんな隙だらけな行動を見せれば……


「ゆくぞなのだ! ベル!」

「分かってる。」


アナとベルは大魔法陣を展開すると、詠唱を開始する。

そのタイミングで、メアリスとクロイツがベルと手を繋いだ。


「「我は神の化身。あらゆる闇を浄化するもの也。我が封魔の光で悔い改めよ! セイクリッドエクソサイズ!」」


二人が力ある言葉を紡ぎ、空高くの魔法陣から一筋の光が放出される。


天から降り注ぐ光が毒蜘蛛種に浴びせられる。

その光は毒蜘蛛種の中にある邪悪なものを容赦なく、一片も残さず浄化する。


「アッ…………おオ…………キに…………」


そう言い残し、毒蜘蛛種の女性は倒れる。

さて……あとはザンティだな……

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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