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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする (打ち切り)  作者: いちかわ
魔法の街スペリラ~感情豊かな精霊さん?~
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第34話 ベル先生の魔法講座

「今からベルによる魔法講座を始める。着席。」

「はい、先生!」

「えーっと……」

「エル。着席。」

「あ、すいません……?」


俺はなんだか謝らないといけない気がして一度謝り、椅子に座る。


「次からは気をつけるように。」

「はい! 質問です!」

「なに?」

「これはなんですか?」


よかった、メアリスが聞いて欲しいことを聞いてくれた。


「いい質問。これはベルの魔法講座。魔法を教える時間。」

「……あっ! 契約魔法だな?」

「エル。正解。」


ベルは無表情で拍手をする。

……失礼かもしれないが、こんなおもちゃがあった気がする。


「キュウッ!」

「いてっ」


ベルの肩に乗っているアナがおでこになにかを投げつけてきた。

なにかは落ちてくることはなく、砂が舞き上がるようになくなってしまった。


「エル。雑念は捨てて。」

「す、すいません……」

「くすくす、エル怒られてるー」

「キュウッ!」

「いたっ」


メアリスもなにかをおでこに投げつけられる。

そんな俺たちは顔を見合わせて笑う。

いつも通りの光景だ。


「おほん。君たちが静かになるまで五分かかりました。」

「キュキュ!」

「え? 違う?」

「キュウ~……」

「……とにかく。エルには契約魔法を学んでもらう。」

「よろしくお願いします!」

「良い態度。成績プラス一っと……。」


所々よく分からないところがあるが、契約魔法を教えてくれるならとても助かる。

ベルと契約したらどんな能力が備わるのだろう?

楽しみだ。


「まずは魔法の仕組みから。どうしたら魔法を使えるのか答えて。メアリス。」

「えーっと……こう! どかーんってやってぼーん! ってやるの!!」

「ぶぶー。不正解。」

「あちゃあ、惜しかったなぁ」

「掠ってすらいなかったぞ……?」

「諸君。静かに。」


ベルはパンパンと手を叩いて注目を集める。

……諸君と言われても、二人しかいないが。


「エルは分かる?」

「あぁ。まずは頭の中で魔法式を構築、その次に魔力を込めて、最後にそれに応じた詠唱をする。だったよな?」

「正解。ぱちぱち。」

「キュンキュン!」


アナとベルが揃えて手を叩く。

感情がこもっていない……でも、どこか嬉しいような気持ちが湧き上がってくる。


「でも残念。契約魔法はその形式の魔法じゃない。契約魔法は”紋章魔法”。」

「「紋章魔法?」」

「紋章魔法。魔法陣を描いた後にとても長い詠唱をしないといけない高等魔法。魔力消費も多い。」

「なにそれ? 手間もかかる上に魔力消費も多い……なんのためにあるの?」

「紋章魔法でしか発動できない魔法がある。例えば……契約魔法とか。」

「なるほど……」

「今から契約魔法を発動するための魔法陣を描く。ちょっと待って。」


ベルの指が輝きだし、それで魔法陣を描き始める。

待つこと数分……


「完成した。これが契約魔法の魔法陣。」

「うわぁ……なんていうか、見てると眠たくなってくるね」

「こ、これを覚えないといけないのか……」

「ちなみに。ベルはすごいから短時間で描けた。エルだと……多分一時間は必要。」

「一時間!?」

「それにこれは見やすいように大きく描いただけ。契約するためには手のひらに描かないといけない。」

「ごはっ」

「あ、エルが死んじゃった」

「な~む~。」

「勝手に殺さないでくれ……それにしても、契約魔法を使うのにこんな魔法陣を描かないといけないのか……考えるだけで骨が折れる」

「エル。ばきばき?」

「はは、例えだよ」


ベルは天然なところがあるのか、時々面白いことを言ってくれる。

パーティの雰囲気も明るくなったようで……なんだか嬉しい。


「そういえば。なんで契約魔法を使えないのにメアリスと契約してる?」

「お父さんからの贈り物の魔石で契約したの。それを砕いたら契約できたって感じだよね」

「そうだな。それで間違いない。」

「け。契約魔法を魔石で……? メアリスのお父さんは何者?」


ベルはいつも通りの無表情で身体をくねくねさせている。

この仕草は前にも見たが……考えている時はこうなるのだろうか?

少し面白い。


「私のお父さんはすごいんだよー! えっへん!」

「後で詳しく。興味ある。」

「もちろん!」

「話をぶった切るようで悪いんだが……契約魔法を魔石で発動させるのはそんなに凄いことなのか?」

「凄いなんてものじゃない。契約魔法はどのクラスにも属さない特殊な魔法。魂に術式が刻み込まれるからとても難しい。それを簡易的な魔石で発動するなんて有り得ない。メアリスのお父さんはすごーーーーーーーーーーくすごい。」


ベルは手を広げてすごさを表現しているのか、カカシのようなポーズをとっている。

絵に魂を宿す時点で充分、というか英雄クラスだ。

更には原初の種(オリジン)の中で一番の魔力を持つ、精霊族のベルにここまで言わせるとは……

ソロウさんは本当に何者なのだろうか…………


「流石お父さん!」

「そんな契約魔法を、俺が使えるのか?」

「うん。使える。エルの魔力量はすごい。だから使える。」

「私のおかげだねー!」

「そうだな、ありがとうメアリス」

「はふぅ」


メアリスの頭を撫でるとなにやら変な言葉をあげて恍惚とした表情を見せる。

それを見てベルは物欲しそう……? な表情でこちらを見る。


「ベルもほしい。なでなで。」

「撫でるだけでいいのか? それじゃあ……」

「ふぁ。」


ベルは変わらず無表情だが、頬を赤く染めて目を細める。

気持ちよさそうだ。


「……ん。ありがとう。」

「こんなのでよければいつでもするよ」

「それはうれしい。わーい。」


ベルは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。


「……はっ。契約魔法。これは授業だった。忘れていた。」

「あ……そういえば契約の話だったな」

「エル、アレを描くんだよ?」


メアリスの言葉であの魔法陣を再び見てしまった。

……辛い。


「ベルの本格指導の開始。できるまで休み時間はなし。」

「う、嘘だろぉーー!?!?!?」


そんな俺の悲痛な悲鳴がスペリラに響いたとか、響かなかったとか。

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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