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故郷を失った少年、最強絵画の少女とともに冒険者をする (打ち切り)  作者: いちかわ
魔法の街スペリラ~罪人?~
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第23話 冒険者になったのは……

「お、メアリス。おはよう」

「おはよー!」

「はは、元気だな。カレットは?」

「カレットはブローチに戻ったよ。長い時間見張りをしてもらってたから休んでほしかったし」

「カレットには感謝だな。今度美味しいごはんでもごちそうしたいな」

「それいいね! その時はザックもアンドリューも……家族みんなでごはんを食べたいな!」

「ははっ、それは楽しそうだな」


メアリスはその時のことを想像しているようでとても元気な笑顔を浮かべていた。

メアリスとカレットだけじゃなくて……他の作品たちとも仲良くしたいな。


「キュ!」

「あっ! 君は昨日の……!」


かわいらしい鳴き声が聞こえて振り返ってみれば、そこには昨日の夜に見かけたメルヘンなリス(?)。

まだここにいたのか。


「エル? どうしたの……わぁ!! かわいい!! おいでおいで!」

「キュ」


リス(?)はトテテとメアリスの方に走っていき、胸に飛び込んだ。

メアリスの顔はぱあっと輝き、トロンとした表情でリス(?)の頭を撫でる。


「エル、この子なんて言う動物さんなの?」

「うーん……俺にも分からないんだ。こんな動物、図鑑でも見た事ない」

「へぇー、あなた珍しい子なんだねー。どこから来たの?」

「キュイ!」


メアリスが尋ねるとリス(?)はメアリスの腕から抜け出して走っていった。

こっちこっちという感じでぴょんぴょん跳ねている。


「エル! この子についていこうよ!」

「え!? うーん、そうだな……」


普通に考えればこの謎のリス(?)についていくのは危ない可能性もあるのだけど……

でも、メアリスが興味を示している。俺もだ。

俺が冒険者になった理由のひとつは、広い世界を見ること。

そして美術館以外の景色を知らなかったメアリス。

こんな二人が居たら当然……


「エル、お願い……!」

「……わかった、行こうか!」

「……! やったー!」


行くしかないだろう。

危険? 冒険者になった時点でそんなものは覚悟している。

それにこんな特異な動物に出くわすことなど、二度とないかもしれないんだ。

こんな冒険のチャンス見逃せるわけがない!

そうと決まれば俺たちはリス(?)が向かう方向に走っていく。

歩くのが一番だがこの好奇心を抑えることができないし、なによりリス(?)がこちらに合わせて歩くとは考えにくい。

魔物に接敵することもあったが、今の俺たちを止めることなど普通の魔物には不可能。

魔物に遭遇しても俺とメアリスが瞬殺し、好奇心のまま走る足を止めない。



--------------------



「うわっ! 突然植物の様子がかわったよ!?」

「これは……魔法の森の植物だな。君はここに俺たちを連れてきたかったのか?」

「キュイ!」


肯定ととれる鳴き声を発するが、リス(?)はまだ止まる気配はない。

どうやら目的地はまだ先らしい。

ともあれ、偶然目的地の魔法の森に来れたのはラッキーだったな。


「メアリス、ここからは魔物もさっきまでより強くなってくる。気を引き締めていこう」

「合点承知之助!」

「それ、流行ってるのか……?」

「……いけ…………」

「……?」


なにか聞こえたような……気のせいか?


「エル、なんかやばそうなの来た! 一回止まる!?」


俺ははっとして前を見る。

今は別のことを気にしている暇はない。


「こいつは……ラフレシャーラか。」


Bランクに位置する魔物で、強烈な臭いを放つ特殊な魔法でこちらの動きを鈍らせる厄介な魔物だ。

少なくとも片手間で相手するような魔物ではない。


「一度止まろう! あのリス(?)は倒した後に探せばいい!」

「了解だよ!」


俺たちは一度足を止め、戦闘態勢に入る。


「ギィィ!!」


ラフレシャーラは身体に生えている鋭い葉を飛ばしてきた。

この程度なら避けるのは簡単だ。

……本来なら。


「うっ……!? っく!」


俺は強烈な臭いに顔を歪ませながらも葉を避け、ダガーで迎撃。


「キュ!?」

「あ、あの子が!」


メアリスは臭いを気にせず余裕を持って避けていたが、リス(?)に向かっていく葉を見て焦る。


「大丈夫!? 私が守るからね!」


メアリスは薔薇が描かれている魔法陣を出現させると盾のように構え、葉を全て防ぎきってみせた。


「お返しだよ!」


メアリスが魔法陣に力を込めると、黄色のビームが発射される。

ラフレシャーラは躱そうとするが、躱しきれずに少し掠った。


「畳み掛ける! ブリザードバレッ……」

「ギギギィ!」

「うっ……! またか!」


強烈な臭いが放たれ、詠唱が中断される。

ラフレシャーラは俺に近づき、鋭い葉で切り裂こうと振りかぶった。


「ぐっ……」


俺は寸でのところでダガーを抜いて受け止める。


「エルに手を出さないでくれる?」


メアリスはパレットナイフを取り出し、ラフレシャーラに突貫する。


「……うわっ!?」


突然ラフレシャーラの力が抜けたと思った次の刹那、ラフレシャーラは爆散して崩れ去り、魔石と化した。

メアリスが目に見えぬほどの速さで切り刻んだのだ。


「エルに手を出すからこうなるんだよ、薔薇以外のお花には興味ないから」

「メアリス、助かったよ。ありがとう」

「えへへー、すごいでしょー?」

「あぁ、すごくかっこよかったぞ!」


メアリスが頭をこちらに差し出す。

撫でてほしい、ということか?

俺はそれに応え、優しくメアリスの頭を撫でる。


「はふぅ……エルの手は最高だね」

「そうか?」

「うん、お父さんみたいに綺麗な手だよ」

「そんなすごい人みたいなんて、それは光栄だな」


俺はメアリスが満足するまでメアリスの頭を撫で、メアリスが満足して離れたらラフレシャーラの魔石を回収する。


「エル、ありがと」

「俺も、助けてくれてありがとな」

「ふふっ」

「ははっ」


俺たちはお互い見合わせ、気持ちよく笑う。


「……っち…………」

「またなにか……」

「エル、なんか聞こえない?」

「え? メアリスも?」


俺だけなら勘違いという可能性もあるが、メアリスもそう言うのならばなにかがいる可能性が高いだろう。


「メアリス、索敵できるか?」

「うん、やってみる。」


メアリスは魔力を周囲に飛ばして様子を見る。


「どうだ?」

「うーん……特に気配はないよ。弱い魔物はたくさんいるけど、それなら声が聞こえた時点でそいつは私たちで始末できてるはずだし……」

「キュイ!」

「っ!? ……脅かさないでくれ……。」

「私も驚いた……」

「キュ?」


こんな状況でそんなに大きな鳴き声を上げないでくれ……心臓に悪い。

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

毎日投稿してますので、是非また次の日に見に来てください!

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