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第2話 激突する獣たち

◇……視点変化

◆……過去、回想

------……場面変化、時間飛ばし

「いくぞっ!」


アクスは大剣を握っているとは思えない俊敏な動きでこちらに接近する。

ただ、こちらは短剣なので素早さでは負けていない。


「はあっ!!」

「ふっ!」


直上から振り下ろされる斬撃。

大剣の重さと、アクスのパワーを乗せたその斬撃の勢いは風の如し。

俺は横にステップすることによってそれを躱した。


重たい大剣を振り下ろしたアクスはすぐには動けないはず。

俺はそう判断した。

腰を落として懐をとり、短剣を突き立てる。


しかし……


「中々いい動きだが、もうちっと警戒したほうがよかったな」


アクスは俺の突きを体を反らすことによって避け、大剣を軸にして独楽のように回って回し蹴りを繰り出す。


大剣だからこそできるその動きに、数舜動きが遅れた。


「うっ!」


俺は短剣を横にして蹴りを受け止めようとするが、間に合わずにお腹に蹴りをくらってしまう。

俺の体は勢いよく吹っ飛ぶが、冷静に受け身をとってダメージを最小限に抑える。


「っ!?」


しかし休む暇はない。

アクスは大剣を手にこちらに駆けてくる。

それを見た俺は跳ねるように起き上がり、体勢を立て直した。


「おらあっ!!」

「おわっ!?」


今度は横に薙ぐような斬撃。

バク転するように避けるが、すぐに追撃がくる。

次に来るのは木の投げナイフによる攻撃。

アクスは一度に三本のナイフを飛ばす。


「はっ!」


まずは一つ目のナイフを短剣で叩き落とし、残りの二つは体を傾けることによって躱した。


「今度はこっちの番だ!!」


俺は地面を蹴って素早く加速し、短剣を構える。

アクスは大剣を肩に掛け、いつでも振れるよう構えた。


「いくぞっ!!」

「来いっ!!」


俺はステップを織り交ぜ、変則的な動きでアクスに接近。

これは大剣ではできない動きだろう。

アクスは迎え撃つように大剣を横に薙ぐ。

しかし、俺は姿勢を低くしそれを躱す。


「くっ!?」


大剣は元来超接近戦に弱い。

先ほどのように大剣が地面と接していないため、回し蹴りによる反撃は不可能。

しかし、俺はそこで油断しない。

アクスならなにか対応策を用意していても不思議ではない。

俺はアクスの横に回り込み、脇腹に向かって短剣を振る。


「はぁぁぁぁぁ!!」

「んなっ!?」


アクスは接近を許し焦っていたため、正面しか警戒できていなかった。

俺はその隙を突き、短剣をアクスにヒットさせた。


「……俺の負けか……。これで俺は103勝26敗だな……。強くなったな、エル」

「よしっ!! ありがとう、アクス!」


俺とアクスは太陽を背にがっちり握手をして、にっとはにかんだ。

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