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第107話 VSシガー・3

「うおっ!?」


一本の槍が俺を横切る。

標的は俺じゃないということか!


「ちょおぉぉ!? なんでこっちくんねん!?」


メディアスの方目掛けて槍が向かっている。

メディアスはそれを紙一重で躱す。

しかし避けたはずの槍は素早く方向転換し、再びメディアスを狙う。


「マジックバリア。」


メディアスの背中に迫っていた槍をベルが魔法の壁で受け止める。

しかしその槍は意思を持っているかのようにその壁に攻撃を続けている。


「これは一体……」

「油断してんじゃねぇよ」

「っと! 油断なんてしてないぞ」


俺はシガーの槍を短剣で受け止める。

だが…………


「はあっ!」

「ぐっ!?」


根本的にパワーで負けている!

シガーは強引に槍を突き出す。


『目閉じて。』


ベルの声が頭に響く。

俺はベルの言葉を信じ、目を閉じた。


「エルから離れて。」

「なんだ……うっ!?」


俺とシガーの間で花火が炸裂。

シガーはそれを超至近距離でくらってしまい、一気に距離をとる。


「……なんだ、攻撃目的じゃないのか」


あくまで今のは視界を奪うための技。

原初の種相手にはダメージを与えることすら叶わない。


「てめぇは厄介だ、分断させてもらう」

「なにを……。ん?」


残っていた残り一つの槍がベルに向かって飛ぶ。


「マジックバリア。」


ベルはそれをギリギリで防ぐ。

だが……



──────パリィィン



持ち手のいない槍が一点に向かって突き、マジックバリアを突き破った。


「まじか。」

「させない!」


俺は再び短剣で槍を受け止める。

持ち手がいないからか、先程のシガーと交えた時ほどのパワーはない。

しかし……


「ちょいちょい! いつまでついてくるんやこいつ!」

「おいおい……どういうことだ…………ってうお!?」


持ち手のいない槍がいきなりテクニカルな動きを見せる。

フェイントを挟んだり、俺の手薄な部分を狙ってくる。


「考えてる暇ねぇから」

「行かせないよ!」


メアリスは巨大フォークでシガーを串刺しにしようとする。


「そんなの当たんねぇよ」

「うううう、なんで当たらないの!」

「心が乱れすぎだ。そこだな」

「あっ!?」


シガーが隙を見て後ろに回り込み、メアリスの背中を突き刺そうとする。


「マジックバリ…………」

「やらせねぇよ」

「まずっ」

「うっ。」


俺が槍を取り逃してしまい、ベルの魔法を邪魔される。


「これで一人脱落だな」

「ううう!?」

『ここで真打登場なのだ!!』


アナはベルの頭から飛び降り、メアリスとシガーの間に入る。


「関係ないな、二人まとめて死ね!」

『そんな言葉遣いの汚いやつにはやられないのだ!』


そう言うと、アナの手が光り輝く。


「おらぁぁぁぁ!!」

『なのだぁぁぁ!!』


アナの手とシガーの槍が衝突する。

強大なエネルギーのぶつかり合いで衝撃波が発生する。


そして、なんとそのぶつかり合いで弾かれたのは……


「ちぃっ!?」

『フハハハハ!! わがはいの力を見誤ったな! なのだ!』


シガーだ。

アナってあの状態でもかなり強いんだな。


シガーが弾かれたことによって水の槍への意識が疎かになり、消滅した。

今が絶好のチャンスだ!


「アナの作ったチャンスは無駄にはしない! ギガボルト!」

「アイシクルストーム。」


俺とベルの魔法がシガーに向かって飛ぶ。


「めんどうくせぇな…………!」


シガーは足元に落ちていた金属のゴミを投げつける。

俺の雷撃魔法が金属を通り、勢いが弱まる。


「ぐうううう!?」


よし!

初めてシガーにまともな攻撃が入った!


「正直心が痛いけど……負けられないから容赦しないよ! ドロウ・インテリア!」


メアリスは大きなテーブルを創り出し、それを手にシガーに突貫する。


「はぁ……休んでる暇ねぇな……。 これでもくらっとけよ、ウェイブピラー!」


シガーがそう唱えると、地中から水の柱が噴き出す。


「本当はシガーを埋めるつもりだったけど……とう!」


それを見てメアリスは水のが噴き出しているところにテーブルを置き、それに飛び乗る。

すると、面白いことにテーブルはメアリスを乗せたまま空高く舞い上がった。


「さっきやってた技、強そうだから真似っこさせてもらうね!」


メアリスは大量のフォークを生み出し、それらを一気に巨大化させる。

そしてそれらを上空から発射した!


シガーはそれを見て水の槍を飛ばして迎え撃つ。


「吹雪の剣・残留!」


俺は短剣に氷属性の魔力を付与。

ここが好機と見て俺は一気に接近する!

シガーは魔法のダメージが残っているのか動きが鈍い!

ここしかない!


「くらえ!」

「はっ……大したもんだよ、お前ら……だけど……めんどうくせぇけど、あたしはまだ負けてられないんだ」


シガーは独り言のようにそう呟き、自分の足元に槍を突き刺した。

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