表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄腕鑑定お姉さんは結婚できない(休止)  作者: 春無夏無


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

プリヴェはいつも安定したい

 私が王都から持ち帰ってきた「お土産」に、パネのギルド長は渋めの顔をより渋くした。


「アデレードさんの片眼鏡よりは性能が落ちるんですよね?」


「ええ、量産品ですからぁ」


「これは本部には……」


「黙ってても大丈夫ですよぉ。私が持ち込んだものなので」


 バレたところで本部の鑑定部門長が鑑定のための魔道具を現場でテスト使用した、という話になるだけだ。

 かけると鑑定能力が上昇する片眼鏡を手にギルド長がそのままため息を吐く。


「正直疑っていたんですよ。アデレードさんの片眼鏡は自分を侮らせるためのフェイクじゃないかと。でもこの個人専用化されてない量産品を見ると本当なのですね」


 おっとバレてた。

 実際私の片眼鏡は見た目が美しいだけで全くなんの能力もないからね。


「本部の採用試験に参加するとかで今後も私の不在がありますから冒険者の方々にはご不便をかけますでしょう? 少しでも穴埋めになるといいのですが」


「それ、人事部門長に伝えたら喜んでおられましたよ。鑑定部門長が参加すると採用が楽になりますからね」


「こちらも見落とさずに人材を確保したいですわねぇ」


 そんな雑談をしながら今日鑑定カウンターに入っている代理の人に片眼鏡を使ってもらうことにしたらしい。

 今日は私は仕事しなくていいのか。長旅帰りということになってるし、気を遣ってくれたのだろう。

 実際は一瞬で移動だし、然程疲れてもいないけれど。


 しかしこの「お土産」でこの反応だと、帰り間際にシノマキが完成させて手渡された試作品のことを知ったらギルド長は腰を抜かしそうだ。

 当分秘密なので教えたりはしないけれど。


 私は今、白い石を太いリング状に加工したようなものを首から下げている。

 これは同じ魔道具を持つ人間と連絡がとれ、多少なら話すこともできる魔道具だという。

 現在はシノマキと私しか持っていないから、私たち専用の連絡手段ってことになるのかな?

 王都とパネで会話ができるなんて、とちょっと信じられない気持ちだけれど、古魔道具の回路を転用したそうだから、昔は当たり前のように遠くの人と話すことができていたのかもしれない。

 ちなみに鑑定すると、物価の高い王都に豪邸が建てられてしまうなあという想定金額が表示されるので恐ろしい。

 もはや上級貴族の御令嬢より身につけるアクセサリーが高価な女と化している。

 見た目ではわからないから強奪されることはないと思うが。



 さて、仕事がないなら帰るかとギルド長室を出て階下へ移動すると、職員のひとりが駆け寄ってきた。


「アデリーさん。ちょうど良いところに」


「どうしましたぁ?」


「アデリーさんに見て欲しいとプリヴェさんがいらしてます」


 マルゼンさんとセンコさんに紹介して、一緒に組むようになったプリヴェさんか。

 今は大型ダンジョン作成の真っ最中だったと思うけれどどうしたのだろう?


 相談カウンターで大きな目に涙を溜めながらプリヴェさんは私を待っていた。


「アデリーさん、私……私の……」


「落ち着いてくださいな。一体どうしました?」


「スキルが……消えちゃったんです」


 ほう?

 確認のためにステータスを見てみる。

 スキル欄にプリヴェさんのスキルである安定化はちゃんとあるけれど……使用不可とか書かれているな。

 詳細を確認してみよう。


「うーん……なにか、精神の安定が乱れるようなことありました? どうやらスキルのレベルが上がって、使用条件が増えてますねぇ」


 作成中のダンジョンの安定化という彼女が今まで行ってきた仕事の中では最大の仕事で最近急激にスキルのレベルが上がったようだ。

 前にはなかった「使用時に求められる精神安定度」なんて数値が出ている。


 私の問いに対して、プリヴェさんは何故か言い淀む。なにか心当たりはあるようだけど。

 なにか嫌な予感がする。


「あの……マルゼンさんとセンコさんから恋人になってほしいと告白されました。どちらを選んでも恨みっこなしって」


「それは……大変困った人たちですね」


 いつかこうなることは予想はしてた。

 女っ気のない男性ふたりと若くて可愛い女の子を組ませたら惚れた腫れたの話になるかもしれないと。

 しかしだ。早過ぎないか?

 せめてそういう話はダンジョンの大枠ができてからするものでしょう。

 どちらを選んでも恨みっこなしとか、どちらかは選ばれると思ってる傲慢さもよろしくない。

 大体恨みっこなしなんて無理だわ。結局は禍根が残って解散するパターンでしょ。


「必要なら私個人で介入しますけど、どうされます? なんなら依頼人に瑕疵ありと今の契約を解消されても問題ないと思いますが」


「いえ、ダンジョンに関わるのは続けたいです。あんなに大きな仕事、この後できるかどうかわかりませんし」


「規模だけは大きいですからねぇ。プリヴェさんの精神状態が安定すればまたスキルは使えるようになりますので、考え無しさんふたりをどうにかしますか」


 話を聞けばやはりプリヴェさんはふたりとも選ぶつもりはないという。そもそもそういう対象として見たこと自体がなかったと。

 年の差はそこまでないけれど、異性にモテるタイプの男性たちではないしね。


「今回の男女間の問題ですのでギルドが介入するよりは神殿のほうがいいかもしれませんねぇ。公正の女神様か愛の女神様か……調停なら公正の女神様の神殿にしましょう。あちらはギルドとも縁がありますから」


 さてプリヴェさんの安定化がなければたちまち頓挫するダンジョン計画を潰さないように立ち回らなければ。

 この町にも利点が多い計画だし、上手くお灸を据える方法を考えよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結済み連載作です。
ゲームで育てた不人気作物パースニップでみんなを元気にしてあげる
VRMMOで成人女性が農業したり育てたマンドラゴラに振り回される話です。

尻軽女が暴力系ヒロインに転生したので、暴力を封印してみた
不幸だけど折れない女の子の心を折る内容です。ほのぼのしません。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ