第2話 超絶美少女
――それは遠くから見てもわかるほどの超絶美少女だった。
出会いと別れの季節、春の象徴である桜。その花びらが風に舞っている景色の中、自転車をこぐ姿を見ていると、臭い青春物の映画のワンシーンを思い出す。
こちらに近づいてくれば来るほど、その顔立ちの美しさ、洗練された雰囲気、更にはモデルのような体系がはっきりとしてくる。
短く折られたスカートから見え隠れする太ももは、肌理がこまやかでとても白く、陶器のようだ。
自転車をこぐたびにパンツが見えそうになるが、ギリギリ見えない。
その姿に俺は目が釘付けになっていた。
「うーーーーーん、エロい!! やっべぇ、あんなかわいい子俺の高校に居たっけな? ってか、胸でか! 半端ねぇ・・・・・・」
そんなことを考えている間にも、どんどんあの忌々しい段差に少女は近づいてきていた。
ついでに胸も揺れていた。あ、悪魔でついでね! つ、い、で!
人類の宝の虜になっていた俺だが、近くで聞こえるガタン!という音に注意を持っていかれる。
あの忌々しい段差を自転車が通行する音だ。
「このままだとあの子も危ない」
と、俺は思った。もちろん思った。しかし、俺は高2にして恋愛経験未だ0の生粋の童貞男子。
そこら辺のインスタ蠅とは考えることが違う。
*説明しよう!! インスタ蠅とは、インスタ映えを気にしに気にしまくっているJKやDK(ドンキーコングじゃないよ!)を中心に、ただただインスタ映えの為にさして美味くもないような料理に高い金を払ってしまうという若者のことを東山凌空が皮肉ったものである!!
そんな全人類童貞代表である俺が一体何を考えたのか・・・・・・。
「このまま俺が何も言わなかったら、段差の所でこけちゃったりして、パンツ拝めちゃうんじゃないの!?」
いやこれ童貞じゃなくてただの変態クズ野郎だろ・・・・・・。
で、でも俺中学の頃からそんな感じでラブコメに発展しちゃうアニメとか漫画とか読んだことあるし! 影響されるのは仕方がないよね・・・・・・。
全く仕方なくないね。ごめんなさい。
んーー、にしても何か言ってあげるべきか、自分に素直になるべきか。
まだこの距離なら声かければあの段差の餌食にならなくてすむよな。
でも急になんか言われても怖いだけじゃないか?
それに自分の素直になれっていうしな・・・・・。
そんな逡巡に思いを馳せていると、その時は刻一刻と迫っていた。
「おし、決めた!」
そう俺が決心した際には、その美少女の胸、じゃなくて、美少女の姿がもうすぐそこまで来ていた――
お読み頂きありがとうございました。
2話もあげちゃいます笑
お楽しみ頂ければ幸いです。次回でやっと彼らは出会います。