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俺と聖教会

 町外れにある小さな教会。

 生まれて七日目に洗礼を受け、神父様に名前をもらった場所……らしい。

 特別な理由があるのか無いのかは知らないが、この街の子供の名前は教会の神父様が決めていた。


 礼拝堂に入り椅子に腰を下ろした俺達は、正面に座ったラウラと向かい合う。

 ジャスミンが隣に座っているのに恐怖を感じるが、ラウラに睨まれるのを恐れてか何もしてこないので助かった。


「さて、先ずはご苦労さん。悪かったね、使ってしまって」


 労いの言葉をかけられ、俺は首を振った。

 命が助かったのはこの二人が来てくれたからだ。

 前世で殺されたとは言え、ジャスミンは命の恩人だし、ラウラがそのバックにいるため今も無事でいられる気がしている。


「本題に移ろうか。一緒に町中を見て回ったけれど、あんたの他に生きている人は見つけられなかった。つまり、唯一の生き残りがあんただ」


 翼竜ワイバーンを討伐しきった後、ジャスミンも同じようなことを言っていた。

 聖教会で保護する、と。


「強制ではない、と言いたいところだけれどね。聖教会も今、人手が足りないのさ。見習いのジャスミンを前戦に出すくらいだしね」


「だから、下手に戦って死人出すくらいなら、私が特攻していくって言ってるじゃないですか!」


「お黙り! あんたがいくら強かろうと、まだ見習いなんだよ!!」


 二人の会話を俺は黙って聞いている。

 ラウラだってジャスミンの強さは認めている。

 それなのに戦わせたがらないのは、やっぱり狂戦士バーサーカーのような気質を見抜いてだろう。


 周りの被害も気にせず敵だけ狩るんじゃ、聖教会としても困るはずだ。

 ゲームのような世界でも、ここに生きている人たちにとっては現実リアルなんだと改めて思う。


 ドゥーンとして、この世界の知識はいくらかある俺だが、聖教会については詳しく知らない。

 この教会は町の祈りを集めるためにあるようなもので、魔物の討伐などは行っていなかったはずだ。


「一言で聖教会と言っても、様々な部署があるんだよ。アタシが受け持っているクレイエル教会は孤児の保護が主でね。この、ジャスミンも孤児なのさ」


 ジャスミンの雰囲気からそんな感じはしていなかったが、修道女シスター見習いということはそうなのだろうと思った。

 生前読んでいたラノベでも、教会に引き取られた孤児の少女が修道女シスターになる話があったのだから。

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