ヤンデレと俺の転生2
そっと目を開けて辺りを見回すと、翼竜の群れは一匹残らずに倒されている。
ボスと思われる翼竜の上に、俺と同じくらいの年の女が立っていた。
「私たちの運命の再会を邪魔しないでよ、羽蜥蜴ごときがっ!」
女は叫び、手のひらサイズの小さなナイフを使ってボス翼竜の首を一刀両断する。
その横顔に何故か見覚えがあった。
「榊原茉莉花……」
俺を、當間暁斗を殺したストーカー女と全く同じ顔のその女は、ナイフに付いた血を払うと、ボス翼竜から飛び降りる。
そして、一目散に俺の方へと駆けてきた。目を輝かせて、俺の顔を覗き込む。
「やっと会えた!」
翼竜の返り血に染まったストーカー女は満面の笑みで微笑んだ。
怖い。怖い。怖い。翼竜なんかよりも、こいつの方がよっぽど怖い。
「こっちでははじめまして、だね」
こっちもそっちもあっちもない。
俺はお前と関わり合いになりたくない。そう思っていても、口に出すことは出来なかった。
「私は、ジャスミン。ジャスミン・クレイエル。よろしくね」
差し出された手をとることも出来ず、彼女をただ見つめる。
俺の心を支配しているのは純粋な恐怖。
(――また殺される!?)
榊原茉莉花まで、俺と同じように生まれ変わっていたという事実。
ドゥーンに生まれ変わった今も、またこいつに追いかけられるのではないかという恐怖。
茉莉花改め、ジャスミンは少しだけ不機嫌そうに唇を尖らせる。
どくん、と心臓が跳ねた。
「これでも私、聖教会の人間ですからね! 自分勝手に暴れまわったりはしませんよ」
唇を尖らせたまま、ジャスミンはそう言う。
……聖教会? よく見れば、彼女は青い色の修道服を着ていた。
シスター服といえば、わかりやすいかもしれない。
「この世界はね、文明発達途中で魔物が出現したらしいの。私達、聖教会は魔物の討伐と孤児の保護をしているのよ」
混乱する俺に丁寧に説明してくるジャスミン。しかし、魔物の討伐って、修道女の仕事じゃないだろう。
どちらかっていうと、傭兵のおっさんが魔物狩りをしているイメージだ。
よくやっていたロールプレイングゲームではそうだった。