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陽キャJKギャルの堕とし方

作者: 詩野


 最近、藤華(とうか)の様子がおかしい。

 中学からの友達で、いつも放課後は一緒だったのに最近はすこぶる付き合いが悪い。

 お金稼ぎにバイトでも始めたのかとも思ったけど、それならそうと言ってくれるはずだ。

 学校でもうわの空で、ぼんやりとしている事が増えた。

 絶対に何かを隠してる。

 ……本当は一つだけ心当たりがある。悪い想像で、疑うなんて最低だとも思う。

 藤華は昔、援交をしてるって噂が立って学年主任に呼び出されたことがあった。

 本人は否定していたし、あたしも根も葉もない噂だと信じていなかった。

 実際、証拠も何もなくて疑われるような態度と格好をするなって適当な説教だけでその時は終わったけど。

 もしもそれが嘘じゃなく本当に変わっていたとしたら。

 そうじゃなくても藤華は押しに弱い所がある、もしかしたら強引に迫られて、そのままずるずると……そんな想像。

 でも一度考えだしたら止められなくて、不安でたまらなくなった。

 だから安心したくて。そんなわけないじゃんって否定してほしくて。

 ようやく今日、藤華が時間を作ってくれた。

 学校が休みだから駅前のファストフード店での待ち合わせ。

 時間より少し遅れて藤華はやってきた。

 いつもと変わらない、悪びれもしない笑顔をあたしに振りまいて、金髪を揺らして、注文したシェイクを片手にネイルで綺麗に装飾された爪を見せつけながら。


「いやぁめんごめんご。待ったー?」

「いつものことでしょ。もう慣れたよ」


 いつものこと。慣れたこと。だけど随分と久しぶりに感じるそんなやりとり。

 だけどあたしの胸騒ぎは止まらなかった。


「ってかさ、このネイルどうよ? 私的にはちょっと大人しめかなーとか思うんだけど」

「確かに。藤華にしては珍しい感じだね……あの、さ、藤華」


 ……早く止めてほしい。その思いからあたしは単刀直入に話を切り出した。


「ん? なにさ、っつーかなんか今日の一姫(いつき)暗くね? どったのどったの? なんかあったし?」

「あたしは何も……それよりも今は藤華のことなの」

「私? 私が何よ?」


 口に出すのが恐ろしくなって、それでも勇気を振り絞った。


「藤華、最近付き合い悪いよね。……なんか、あった?」

「え、マジ? そうかな? そうかも? や、別に大したことはなんもないんだけどね」


 藤華の視線が右に逸れる。昔から変わらない、隠し事をしている時の癖だ。

 あたしが楽しみにしてたコンビニスイーツを食べた時も、赤点を隠して遊びに誘って来た時も、後ろめたいことがあるといつもそうして目を逸らしていた。

 胸のざわつきはまだ、止まらない。


「ねえ藤華、話してよ。あたしら友達でしょ? なんか困ってるなら力になりたいよ」

「あー、いや……」

「あたしには話せない事? 誰にも相談できないような事なの?」

「いや、そういうんじゃないんだけど……」

「だったら話してよ。藤華に隠し事されるのは……寂しいよ」


 気付けばあたしの視界は涙で滲んでいた。滲んだ視界の先で、藤華が頬を掻いているのが分かった。泣くつもりなんてなかったのに。

 だけどいつも藤華はあたしが泣くと観念したように隠し事を明かしてくれた。

 話してくれるなら、この涙を止めるつもりもない。ずるい、とは思うけど。


「分かった、分かったって……その、一姫はこういう話嫌いだと思ったからさ、黙ってただけなんだよ」


 あたしが嫌いな話と聞いて、心臓が嫌な高鳴りをした。

 藤華に援交の噂が立った時、あたしは噂を流した犯人を捕まえてやると息巻いていた。

 あたしらはこんな見た目で、遊んでそうだとかヤれる女だとか影で言われることがあった。だけどあたしも藤華も男に興味なんてなかった。

 レズとかそういうんじゃなくて、女同士、二人で遊んでる方が楽しかったからだ。だからそんな噂を立てられるのが腹立たしくて、そんな目で見られるのが嫌でたまらなかった。

 ……そんなあたしが嫌いな話。それって、もしかして本当に──?


「これ、見てよ」

「……」


 差し出されたスマフォを震える手で受け取る。

 相手からのメッセージ? 相手を募集する自撮り付きの書き込み? それとも、まさか()()()()()()をしてる最中の写真なんてことはないよね? そんなのあたし、見たくないよ。

 涙を拭って、恐る恐る画面を覗き込む。そこに書かれていたのは、


「『陰キャは挨拶しただけでオトせる』……?」

「そ。たまたまSNSで見つけてさー。本当なのか確かめてみたくって」

「それって、どういう……?」

「クラス違うから一姫は知らないだろうけどさー、うちのクラスにTHE・陰キャ! って感じの奴がいんのよ。そいつに挨拶してやったら本当にオトせんのかなーって」


 あたしの気持ちも知らず、ズズズッとシェイクを啜りながらあっけらかんとした調子の藤華。

 それじゃあ、最近付き合いが悪かったのは、このSNSの呟きが本当かどうか確かめるために?

 ううん、違う。本当に挨拶するだけなら放課後の付き合いまで悪くはならないはずだ。


「……で、実際にオトせたってわけ?」


 それで放課後もそいつと、いや、そいつで遊んでて付き合いが悪くなったと、そういうわけか。ふーん。

 確かに男遊びとか、あたしが嫌いそうな話題だ。好きでもない男と遊びで付き合うとか、意味わかんないし。


「いやそれがさ全然駄目よ。挨拶しただけでオチる男は流石にいなかったわー」

「じゃあなんでずっと付き合いが悪かったのよ」

「素直に白状したんだから怒んないでってっ。だからこの『陰キャ、挨拶しただけでオトせる説』は出鱈目だったわけなんだけど、なら実際どうすれば陰キャオトせるか検証してたんだよ」

「はぁー、呆れた……長年の友情が崩壊しそうだわ」

「なっ! そうなるから言いたくなかったんだってー、拗ねるなよー。一姫だってあたしと遊び始める前までは彼氏いたじゃんかよー」


 ジト目で睨むとまるで反省していない様子で藤華は口を尖らせた。

 安心はしたけどやっぱりムカつきもする。それにあたしは前の彼氏のことが本気で好きで付き合ってたし。浮気されて別れたけど。

 それ以来、軽薄な男も遊びで付き合うような女も嫌いになっただけだ。


「なあなあ白状したんだから検証結果聞いてくれよ」

「興味ないし」

「そう言わずに! あたしの努力の成果を聞きなって! ほら、なんか奢るし!?」

「無駄な努力の成果でしょ……はぁ。好きにすれば。あたしポテトね」


 拍子抜けの真実になんかどうでもよくなってきた。

 ポテトを食べ終わるぐらいまでなら付き合ってあげてもいい。

 意気揚々と一番大きなサイズのポテトを買ってきた藤華から視線を外し、あたしは無心で胃に芋を詰め込む作業に入った。


「でさ、まず初日は挨拶してあげたわけ。『おっす、オタクくんおはよー』って」

「そう」

「そしたらどもりながら『えっ、お、お、おはよう、ございます……』って蠅が鳴くみたいな声で返してくるわけ。ただ挨拶しただけなのにどもりすぎでしょとか思ってつい笑っちゃったよねー」

「蠅じゃなくて蚊ね」


 それじゃあ小さな声じゃなく耳障りな声になっちゃうでしょ。流石にその陰キャオタクくんが不憫だ。

 まあ藤華の遊びに付き合わされてる時点で不憫なんだけど。


「だっけ? それで明らかに女慣れしてない反応だし、お、これはマジでイケんじゃね? って思って朝と帰りの挨拶を一週間くらい続けてたわけ。でもさーなんか途中からは『あ……おはよう、三日月さん』とか言って笑いながら返してくるようなったわけ」

「ふーん」

「いやいや何ちょっと慣れた感出してきてんの? みたいな? そこは違うでしょ、もっとこう、あるじゃん?」


 何がどうあるのかあたしには分からない。

 もしかして藤華は向こうから告白してくるのを期待してたんだろうか。いやいや、陰キャにそんな勇気あるわけないでしょ、って偏見かもだけど。


「そんで『陰キャ、挨拶しただけでオトせる説』は嘘ってことが分かったから、次の日からあたしの独自説を検証を始めたわけ」

「題して?」

「『陰キャ、ちょっと遊んだだけでオトせる説』!」

「はいはい。どんどんぱふぱふー」


 付き合いが悪くなったのはそこからか。

 それでその説は実際に証明されたって話になるんだろう。


「で、いつもみたいに帰ろうとしてる陰キャに声をかけようとしたらもうその頃には向こうから挨拶してくんのよ。『三日月さん、またね』ってはにかみながらさあ。だからあたしは言ってやったの。『オタクくんさあ、この後暇でしょ? ならどっか遊び行こうよ』って。いつも家に直帰してるって話してたからさ、二つ返事でオーケーだったわ」


 挨拶どころか日常会話まで普通にしてるじゃないか。というかそれ、割とオチかけてない?


「そんで適当にゲーセンに二人で遊びいったの。そしたらマジクレーンゲームが神的に上手くてビビったよね。あたしが千円突っ込んでも取れなかったぬいぐるみ一発よ、一発。なら最初から取れし! って言ったら『ご、ごめん……その、頑張ってる三日月さんを見てるのが楽しくて』とか言うわけ。ありえなくない?」

「藤華、ゲーム全般センスダメダメじゃん。ゲーセン行くなら千円以上持ってくるなってあたし言ったでしょ」

「う、うるせーし。それでその態度がムカついたから見返してやろうと思って次はボーリング行ったの。そしたらガーター連発でスコア50も行かないでやんの。投げ方もおっかなびっくりでいやーあれは笑ったわー」


 そういう藤華もスコア100超えない初心者レベルなんだけど。

 よくそれでマウント取りにいこうと思ったよね。


「その後はカラオケ行こうとしたんだけど、なんて言ったと思う? 『もう遅いけど、大丈夫? 家族が心配しない?』だってさ。まだ七時前なのにだよ?」

「最初でそれだけ遊べば十分な気もするけど」

「無理やりカラオケまで引っ張っていったけどまだ渋るわけ。『なんなの? 私と遊ぶのが嫌なの?』って聞いたら『僕、あんまり流行りの歌とか知らないし、家族以外でカラオケとか行ったことなくて……』だってさ。はぁー? カラオケなんて自分が好きなもん歌えば良くない? って感じじゃね?」

「藤華も古いアイドルの歌とかよく入れるしね」

「アムロちゃんは古くねえし!」


 あたしも最近の流行りとかよく分からないしそれは藤華に同感だ。その陰キャオタクくんの気持ちも分かるけど。


「カラオケに入った後も歌おうとしないから『じゃあ私が歌うの聞いてろし!』って言って私メドレー。一姫と行くと最後まで入れられないから気持ち良かったわぁー」

「十曲以上連続で入れるからでしょ。スマフォ弄ったらいじけるし。付き合ってられないよ」

「でもでも最後まで聴いてくれるし五曲目くらいからはなんとなくで手拍子とか入れてくれんの! いやぁマジ健気で嬉しくなっちゃったわ。しかもその後は『僕も歌ってみていいかな……? 知らない曲だろうし、上手く歌えるか分からないけど……』。『おーおー、じゃんじゃん入れてこー!』って煽ったの」

「藤華は知らない歌でもノリノリだしね」

「そしたらマジで歌上手すぎてビビっちゃったよね。はぁー? その見た目でその美声とかギャップマジやばーってなったし」


 ……この『陰キャ、ちょっと遊んだだけでオトせる説』、これは順調なのだろうか?


「めっちゃ良かったからあたしでも分かる曲ないか見つけて、それも歌ってもらったわけ。すごかったわー、歌詞が胸にびんびん響いてくる感じ? 『オタクくん、最高じゃん! テレビ出れるっしょ!?』って大盛り上がりよ」

「藤華、すごい人見るとすぐにテレビ出れるって言うよね」

「いやほんとやばかったんだって。あ、隠れて録音したのあるけど聴く?」

「聴かない」


 まあ、藤華が楽しそうならいいけど。でもこの調子だと陰キャオタクくんが勘違いしちゃうのも無理はないかな。


「で、たっぷり三時間二人で歌って、そこで解散ーってなったんだけど、オタクくんなんて言ったと思う? 『もう遅いし、送っていくよ』だって。はぁー? 気遣いの鬼か?」

「……まあ、男ならそれぐらい普通に言うでしょ」


 男と付き合ったことない藤華には経験がないだけで。


「いやもうマジ胸キュンだったわー。で、も! それだけで『陰キャ、ちょっとオトせる説』は証明できませんでした! 帰り道も『今日は楽しかったよ。誘ってくれて本当にありがとう』とか『三日月さんが話しかけてくれるようになってから学校が楽しいんだ』とか『また遊びに行ってくれる?』とか言うだけで進展ないし! また遊びに行ったらちょっとじゃないじゃん! 二回遊びに行ったらもうマブじゃん!」

「二回でそうなるのはどうかと思うけど」


 陰キャオタクくん、もうそれオチかけてない?


「で、駅前まで送ってもらって、じゃあ次はどんな説試してみようかなーとか考えてたわけ。そしたらだよ? 改札通ったところでオタクくんが『あの!』って言うわけ。あの歌ウマの美声でだよ? お、これはもしかして!? って期待するじゃん!」


 ほらやっぱり。それで無事オトせて検証完了した、ってオチね。

 まだポテト残ってるけどちょっとお腹いっぱいになってきたな。


「『あの……三日月さんが良かったらでいいんだけど、次に学校で会ったら名前で呼んだりして……あ、ごめんっ、な、なんでもない! 忘れて!』って言うわけ! いやそこは告白じゃないのかーいってな!」

「一言一句覚えてるんだ……」


 というかそれ完全にオチてるでしょ。

 ギャルっぽい見た目のくせに、とか関係なくそれは藤華の察しが悪すぎ。


「期待させといてそれはないでしょ!? ってか名前なんていつでも好きに呼べし! こっちは生まれてこの方ずっと藤華の名前で生きてるんだし!」

「苗字呼びに慣れちゃうと中々変えるのに勇気がいるんだよ」

「もう私もイラってしちゃって、その日はそれぐらいにしとこうと思ったけど、ここで帰ったら負けだ! って思うじゃん?」

「思わないけど」

「だから改札戻ろうとして駅員さんに止められてオタクくんと一緒に謝った後にまた街に戻ったわけ」

「あんまり人に迷惑かけちゃ駄目だよ」


 でもなんだかこれは流れが変わってきたような……?


「そこで次の説、ドン! 『陰キャ、キスさせてあげればオトせる説』!」

「うん???」


 ちょっと待って、それはおかしい。


「ほら、あの駅の辺りってすぐそこがホテル街で人通り少ないじゃん? だからそっちまで引っ張っていって『学校じゃなくて今ここで呼んで』って言ってやったの! なのに『あの、三日月さん、こっちの方ってあの、その、あんまり僕らが来るのは良くないような場所……』とかぐちぐち言うじゃん?」

「いや、うん、誠実な反応で大変よろしいと思うんだけど、藤華?」

「『呼ぶの!? 呼ばないの!? 私、待ってるんだけど!』って言ってあげてようやくだよ? 『あ……その、藤華、さん……』『さんは余計だし!』『……と、藤華』『ん、なーに? オタクくん』ってなったのは!」

「うん、ほら、もうそれオチてるから検証完了じゃない?」


 次の説とかもういらないでしょ?


「で、一応は満足したんだけど、電車逃しちゃったから時間が余ってるじゃん? しかも結構遊んでたせいで疲れちゃってたし。それでオタクくんに『なんか疲れたからどっかで休んでいこーよ。ここまで来たら最後まで付き合ってくれるっしょ?』って言ったの。一人で待つのも暇だし。そしたら『……う、うん。それじゃあ少し、休んでいこう、か……?』ってホテルを指さすわけ。いやいや! あたしそんなつもりじゃないんだけど!? ってなったけど、オタクくんも緊張しながら勇気振り絞りまくりだったからさ、まあ陰キャオタクくんだし大丈夫でしょ、ってことで次の『陰キャ、キスさせてあげればオトせる説』を思いついたわけ」

「飛躍! 迂闊! 純粋!」

「ホテルの部屋に入るの私も初めてだったから二人してきょろきょろ見回しちゃったよねー。ベッドでけーとか、自販機にすげーの売ってるーとか。そんで一通り盛り上がったところでなんかそーいう雰囲気になるじゃん? ベッドの前で向き合って、自然と距離が近づくじゃん? オタクくんの顔が近づくじゃん? 私は目を瞑るじゃん? ……キス、するじゃん?」

「しちゃったよ! そりゃするよ! もうオチてるじゃん! 藤華が!」


 途中からだいぶ怪しかったけどもう疑いようがないよ! 誤魔化しようがないほど陰キャオタクくんに首ったけじゃん! ギャップにキュンキュンきてるじゃん!


「でもまだ告白して来ないから、オタクくんのクセにしぶとすぎ! ってやきもきしたけど、もうここまで来たら絶対にSNSの嘘説じゃない本当の陰キャをオトせる方法を見つけなきゃ! って意地だよね」

「意地でもなんでもないよ。普通に一般的な乙女の思考だよ」

「だからこうなったら仕方ない、次は『陰キャ、処女上げたらオトせる説』! ってなって、ベッドに入るじゃん? あ、もちシャワーは浴びた後でね? ここまで来たら今度こそ実証してやる! って気合入れてたんだけど、ベッドに押し倒されたらオタクくんが『藤華、すっごく綺麗だ……』とかなんとか言うわけ。いやいや恥ずいって! そんな言われたら『私、初めてだからお手柔らかにお願いします』ってなるじゃん!」


 一体あたしは何を聞かされているんだろうか……。


「そしたら『僕も初めてだけど、頑張る。……好きな人の初めてをもらえるなんて、嬉しいよ』って! はい! 『陰キャ、キスさせてあげればオトせる説』実証完了ー!」


 ああ、ついにここからは初々しい二人の初体験に……。

 ………………、

 …………、

 ……?


「そこまで言ったなら最後まで聞かせてよ!!!!」

「え、流石にそれは恥ずかしいし……私とオタクくん、二人の大切な思い出っていうか……」

「乙女か! 完オチじゃんか!」

「あ、あと一姫ごめん。この後、オタクくんと会う約束してるから私帰るね。一姫がそんなに私の事で悩んでるなんて思ってもいなかったから、次からはちゃんとオタクくんと何があったか報告するからー!」


 メッセージでも来たのか、スマフォを見てにこにこと笑顔になって、藤華は足早に去っていった。

 残されたのは冷めかけた山盛りのポテトとあたしだけ。


「……あたしも彼氏つくろ」


 もさもさと芋を口に詰め込んで、遠い目をして呟いた。









 ──ってマ〇クで女子高生が言ってた』


 1.2万 リツイート 3.1万 いいねの数


胡桃原(くるみはら)一姫(いつき)

わりと陰キャ脳で彼女こそ『陰キャ、挨拶だけでオトせる説』の体現者。

そもそも藤華と仲良くなったのは藤華から話しかけてきたからだった。


三日月(みかづき)藤華(とうか)

陰キャオタクくんとは最初こそ性急だったが今は順調に健全な彼氏彼女をやっている。

オタクくんに合わせて髪を黒く染めようか悩み中。

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