ミナト
ミナトは錆びていた
その横顔はいつも寂れていた
今日も月はため息で霞んでいる
工業廃水の油みたいな光が、コーヒーの上に浮かんで揺れる
街灯やイルミネーション船は泣いていた
「私の光が……」って鳴いていた
ミナトの吐息で、地面に落ちた街路樹の枯葉が力なく飛ばされる
そんな様子はどこか私に似ていた
真っ黒な海の苦味を味わいながら見ていた
環状とは言い難い、中途半端な高速道路
正しいと間違いの闘争
その上をトラックが走って、軋む音、無理をしているみたい
感情とは言い難い、透明にくすんだ気持ち
アパシーとハイファイの共謀
胸ポケットの中に住み着いてしまうから、いっそのこと、ここから海に投げ捨ててしまいたい
ねえ、ミナト、許してくれるかな