君の心の色は?
今回のはプロローグ的なものです。短いですが、見ていただけると嬉しいです。
目を開けたところは真っ白な世界だった。
なにもいない、なにも無い…そんな世界は俺にとって天国のような場所だった。
『ねえ、お母さんとお父さんはいつ帰ってくるのー?』
何故今、これを思い出したのだろう。思い出したくもない記憶を何故ー
電車の走る音で目を覚ます。……夢だったのか。
眠気を払うため目を擦っていると、隣の女性ーつまり幼馴染の敷島燈火が肘で突いてきた。
「ん……?」
半目で燈火の方を見ると、こちらにスマホの画面を見せていた。
そこのスマホの記事には『皆前病院医師殺人事件』と書いてあった。確かこの事件は三ヶ月前くらいに発生した事件だ。
被害者『杉本真司』が自宅玄関で出血多量で死亡しているのが近所の住民により発見された。凶器はおそらく刃物と見られ、警察は捜査を続けている。ーたしかこんな感じだった気がするのだが…
被害者の『杉本真司』燈火がこちらにスマホを見せた理由はこれだろう。被害者の杉本真司は燈火の知り合いの医師で俺も何回か杉本さんと会ったことがある。とても優しく、話しやすい人だった。ニュースで名前を公表されるのは初めてだった気がするが…ショックなのだろう。悲しそうな表情をしている。
「燈火…その」
こういう時、どのような言葉をかければいいのだろうか。
そんな悩んでいる間に
『次は皆前駅〜皆前駅〜お忘れ物にご注意ください〜』
駅についてしまった。結局なんと言葉をかけたらいいか分からないまま、駅を出て、帰路についていた。
「なぁ…燈火、お前の心の色はなんだ?」
幼馴染で子供の頃からずっと遊んでいたが燈火の『心の色』は分からなかった。
それまで暗い表情をしていた燈火が顔を上げて数歩遅れていた俺の方を振り返る。
「心の色…?どういう事…?色なんて…」
ポカーンとした表情をしながら俺に疑問を投げかける。
これが普通の反応だ。大体このように質問しても変人のように見られるか、もしくは燈火のような反応をする。俺はある出来事から人の心の色を見るようになって、様々な事を判断してきた。
「大体みんな黒とか灰色…もしくは青とか紫だ。殆どの人はある程度接していれば分かるけど…お前の場合よく分からないんだ。」
何年も燈火と話していたが、色だけがわからない。
「私も黒じゃないかな?多分…」
「いや、それは違う…断言出来る。でも強いて言うなら俺の願望で言うなら、お前の心は白であって欲しいと思ってる。」
「白…?なんで白なの?」
それは俺にとってとても簡単な理由だが、その簡単な理由に俺は救われた。そんな俺を救ってくれた燈火の心の色は白だと、多分俺が信じたいだけのだろう。
「俺が『あんな事』が合ったにも関わらず、元気でいられたのはお前がいてくれたおかげだ。そんなお前が暗いのは少し似合わない。まぁ、知り合いが被害者ってのはショックだとは思うが…要は元気だせ、って事だ。暗くなっててもしょうがない…違うか?」
俺は燈火に対してあの時の事を感謝するのは初めてだったが本音だ。燈火には明るくいてほしいし、これからも明るくいて欲しい。
「勿論、ホントに辛い時は頼ってもらっていいから…えっと要はな」
なんと言っていいか分からず悩んでいると、燈火が笑った。
「ふふっ、励まそうとしてくれてるの?だったらありがとう。少し楽になれたよ。」
「励ましたつもりは…」
と言おうと思ったが、結局
「え、あ、ああ…」
と返事してしまった。
「さ、帰ろう!早く家に帰らないと!」
どうやら本当に少しは楽にする事が出来たようだ。と安堵した俺がいた。
そして雑談しながら帰宅しているとL字の道で人とぶつかってしまった。
「す、すいまーー」
相手の鞄に目をやると相手の鞄から『杉本真司』と書かれた紙が見えた。
どうでしたでしょうか?語彙力のない自分では内容がスカスカだったと思いますが、見ていただけでも嬉しいです。