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修三と晃は修三の部屋に戻り、先程の二人の会話について話をしていた。
「あの叔父さんの反応さ、明らかになんかあるって感じだったよな。」
「なぁ!そうだよな。…そういえば寛治のおっさん、たまに洞窟とかなんとか言ってたかも知んねぇ。いつも周りの大人達が全く取り合ってなくって、おっさんが言う幼馴染みと同じように妄想なのかと思ってたぜ。」
「叔父さんは調査隊のメンバーとして実際に山に入ってるからな、他の大人達が知らない事も知ってるんだろ。少なくとも甲斐山におっさんが言ってた洞窟があるって事と、その洞窟になんかあるって事は確実なんじゃないか?」
「なんかって何だよ?たぶん毒ガスだけじゃないんだろ?」
「…寛治のおっさんに聞けばいいんじゃないか?」
数日経ち、修三の家よりも寛治の家の近くに住む晃は、寛治が一人で出歩いている時を見計らって寛治に話掛けた。しかし寛治の口からは詳しい事は聞けず、「あの山には入っちゃいけねぇ、絶対に入っちゃいけねぇ。」と繰り返すばかりだった。
詳しい話が聞けず疑問が膨れ上がるばかりの二人は、村の不文律より好奇心が打ち勝ち、甲斐山探索へと踏み切る事になった。
地面に落ちてる看板から、ここが件の洞窟だと確信した二人は、洞窟に入る前に準備をする事にした。
「俺の方はこんなもんだけど、ガスマスクはお前が用意してくれたんだよな?」
「ああほら、二人分だ。」
晃は探索前の準備の話会いで、ガスマスクは当てがあるから俺に任せろと言った修三の言葉を思い出していた。
「えっ?何これ?」
「ガスマスクだよ、手作りの。」
「嘘だろ!?何だよこの小学生の工作みたいの!当てがあるってこれのことだったのか?!」
「まあな!ちょっと作るのに時間かかったけどな。」
「ドヤ顔で何言ってんだよ!そこはお前の叔父さんの使ってるやつとか持ってきてくれんのかと思ったら、まさかの手作りかよ?!」
「これ俺が飲んだペットボトルのゴミでとかだから材料費は割り勘しなくていいぞ。」
「そういう問題じゃねえ!こんなんで毒ガスが防げるわけねえだろ!」
「大丈夫だって、ちゃんとネットで調べたし。実際に紛争地帯とかでも使われてるらしいぞ。」
「ホントかよぉ~。」
「何泣きそうな顔してんだよ。それにな、もしもの時のために酸素缶も4本買ってきたから大丈夫だ!」
「酸素缶ってあの、運動部とかが吸ってるやつか?」
「そうそう。」
「あとこれもやるよ、お守りだ。」
「お守りってペッパーマンのキーホルダーじゃねーか!それお守りにしてんのお前くらいだよ。」
「そんな事ないぞ、和男と春子にもこの前やったしな。」