元出版社の意見、感想など
本編とは関係ありません。
正野零羅様
お世話になっております。
おまたせいたしました。チェックシート評価をお送りさせていただきます。
ご確認、ご査収のほど、どうぞよろしくお願い申しあげます。
おそらく正野様にとっては不本意な、かなり厳しい評価となっているかと思います。
どうぞ、心してご覧くださいませ。
なお、評価の根拠に関するご質問、たとえば
「なぜこの評価になったのか?」
といった疑問などがございましたら
理由をお答えさせていただきますのでお寄せください。
あるいは、評価に関して特にご質問がない場合はこのままクローズとなりますため、
一言で結構ですので、「質問無し」とでも書いて返信いただければ幸いです。
万事よろしくお願い申しあげます。
◆各評価の解説
【キャラクター】
・魅力……主人公の個性そのものは魅力的です。
どう変化していくのか、先を見てみたい気がします。
それ以外は人数の多さゆえに見せ場を作るゆとりもない感じが拭えず3です。
リアル親子の設定はユニークですね。
【構成力】
・導入部……「面白くなりそう」という期待感がもてるところがプラス。
設定を丸ごと説明してしまっているところでマイナス評価になりました。
(冒頭だけ読むと、短い小説なのか? と予想してしまいます)
【文章力】
・こなれているか……ややクセはありますが読みやすい。
反面、個性のひとことでは片づけられない誤字・誤用のミスがリーダビリティを妨げています。
特に気になったのは「は」「が」「に」といった助詞の抜けでした。
一定量はOKですが、多すぎるように感じ、気になります。
・文体の魅力については意見がふたつに別れるところです。
電撃の読者層についてだけ考えるならば「魅力はあり4」、
広範囲にみると、小説作法の掟やぶりをやらかしているヤンチャな箇所が多い。
判断に迷った結果、あいだをとって3の評価です。
【その他・雑感】
『世界観・アイディア全体』について。
設定そのものはすでにヒット作があり、ある種のお約束ですよね。
では、いかにそれを見せるか? という切り口と、手腕が問われるモチーフです。
じつは実際に作品を拝読して「読む作品をまちがえたかな?」と、まず自分を疑いました。
先にいただいた「あらすじ」と、あまりにもかけ離れていると感じたからです。
※現在まさに執筆中ということもありますので、手直しはまだまだこれからでしょう。
ですので、この時点でのストーリーへの詳細なコメントは差し控えさせていただきます。
おなじく、応募される予定の小説賞に関しましても同様です。
どうぞご了承ください。
確実にいえることは「バッドエンドはエンターティメントにおいて茨の道」ですぞ……。
勇者だ、勇者すぎます……。
『構成』に関して少しだけ……。
読者の期待感をいかにしてひっぱり、持続させるか?
ここは物書きならば誰にとっても大きな課題だと思います。
拝読させていただいた原稿の後半部は、「とにかく量を書かねば」といった焦りのような印象を受けました。
結果として、「文字数に反してストーリーが前へ進んでいない」という現象がおきています。
(もっとも、登場人物が多いため、顔見せのためだけでも相当のページ数を食うことでしょう)
「見せ場」、たとえば「会議の場」がひとつの見せ場だと思います。
そこをいかにハッタリをぶちかましつつ盛り上げるか?
読者の期待はこのあたりにありますので、意識されてみると、もっと良くなります。
ギルド名などはカッコ記号で囲み、区別化したほうが、視覚的にもわかりやすくなりますよ。
ご一考ください。
◆以下は「良い」「悪い」などではなく、ただの感想です。
・主人公のセクシャリティのあり方が、わりとマジでナゾ。
(ある程度は意識的にぼかして書かれたとは思いますが、それにしてもナゾ)
・また、視点の意識。
たとえば、身長170センチの女性キャラを主人公は「中背」と表現していますが、これはあきらかに男性基準。
そういった描写が意図的なのか、そうでないのか? ちょっと判断がつきませんでした。
・ゲームタイトルの「アクア」って、どこに水要素があるんだろうか、湖?
・うちのギルマスもエロ魔神だったな、どこでもいるんだな、そういうキャラ……。
※読み手と描き手が等しく感覚と価値観とを共有できることこそが、言うまでもなくベストであり理想ですが、そうもいかないのがご存じのとおりの辛い現実ですので……。
・ゲーム運営と、遠い惑星の神との関連性を、だれがどのように、どのタイミングで説明するのか?(= 一人称におけるウィークポイント)
・読者のカタルシスの行き場(これがおそらく最難関です)
・おもに主人公のリアル(家族や友人など)がスルーされている問題と、ラストの落としどころとの兼ね合い
・もしもラストまでスラップスティックに徹するのであれば、今後の展開は今以上の牽引力でグイグイとひっぱり、読者にとにかく最後まで読ませることが最も重要かもしれない……
──エンドマークまでの道のりは決して平坦ではないと思います。
たとえば特定のゲーム・ファンへむけてのコミュニケーションツールとして小説という手段を選択した。あるいはプレイの思い出としての「記念作品」──であれば、私の方からわざわざ申しあげることは何もありませんし、また、正野さまもお金をかけてまでサービスの購入をなさらなかったはずです。
現時点で申しあげられることがあるとすれば、
「読者はつねに意識しつつも、周囲の意見にふりまわされすぎないこと」
これしかないように感じています。
私、吉国の意見ですら、たかが一個人がほざくことですよ?
出版社のえげつない裏側ならばイヤというほど見てきましたが、小説賞は品評会です。
卑近な例えですが、誤解を恐れずに申しあげれば、現在の正野さまは
「その気はなかったけど、ある日突然、美少女コンテストに出てみないかと言われてとまどっている状態」
に近いのではないかと愚考するのです。
まずはハラをくくってください。
なによりも、貴方の作品の幸福のために。
どうありたいのか?
そこからです。
僣越ながら、無理は重々承知です。ご一考いただければ幸いです。
※読み手と描き手が等しく感覚と価値観とを共有できることこそが、言うまでもなくベストであり理想ですが、そうもいかないのがご存じのとおりの辛い現実ですので……。
御自分の小説に置き換えてみると不足部分が浮き彫りになります。